sit in the sun | ナノ

02-5


すたすたと歩く彼の案内で、私はどうにか2分前に職員室へ着くことが出来た。ぎ、ギリギリ!

「本当にありがとう!助かったー君は恩人だ!」
「そんな、大げさですよ。」

彼はすごく照れくさそうに、くしゃっと笑った。うわーもう本当に可愛いなあ!
そしてやっぱり犬の姿が・・・ゴールデンレトリバーとかそんな感じかな。可愛い・・・。

「じゃあ、俺はこれで。」
「あ、うん。・・・って」

あれ、ちょっと待て。この人、担任の先生に用があったから一緒に来てくれたんじゃ・・・?




「ちょっと待って!」




帰ろうとした彼の手を、ぱしっと、思わず掴む。

「・・・名前、」
「え?」
「名前、教えて!」

突然のことに驚いた彼だが、にこっと笑ってくれた。

「鳳長太郎です。」
「鳳長太郎、ね。今日はありがとう、鳳君!」

嘘までついて職員室まで送ってくれて、ね。
そう言うと、鳳君はしまった、と恥ずかしそうに頭をかいた。

「必ずお礼するね!あ、私の名前は平塚映だから。」
「そんな、良いですよ。じゃあ俺教室戻りますね。平塚先輩、また。」
「うん、またね鳳君!」

手を振って、遠くへ去っていく鳳君を見送った。






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