sit in the sun | ナノ
20-3
「なんだ、そんなことですか。堂々と行ったら良いじゃないですか。」
うわ、他人事だと思って簡単に言うねー日吉君。
いやさ、なるべくもめ事は起こしたくないのだよ。
だって、今は・・・
「まあとにかく、今は問題を起こしたくない・・・って日吉!?」
後ろに居たはずの日吉が、いつの間にか水道へと移動していた。
ちょ、早っ!瞬間移動ですか!?
「先輩方、邪魔なんで退いてくれませんかね。」
ギャーーー何言ってくれちゃってるのあの子ー!
「あ゛?何だとテメェ。」
ほらみろ!
向こうめっちゃキレてるじゃん!!
なんかもう胸倉掴みかかりそうな勢いだよ!
馬鹿!
馬鹿日吉!
「おい、コイツ日吉だぜ。」
ひとりはらはらしながら彼らと日吉の様子を見ていると、後ろにいた1人がそう呟いた。
すると、彼らの空気がどこか変わった。
「あの、2年でレギュラー入りした日吉か?」
「へぇ、お前そうなのか?」
「・・・えぇ、そうですがそれが何か?」
うわぁ、日吉あんな状況でも先輩を全然敬ってないよ。
なんか喧嘩売ってるような物言いだし。
あ、でも何か一触即発ムードからは離脱した感じ、かな・・・?
よしよし、どうかこのまま何も起こりませんように。
だって、今はこれから大会が始まる大事な時期だもん。部内でなにか問題起こすのは絶対に避けたいんです。
・・・ってさっき言いたかったんだけどなー。
チラリともう一度日吉たちの方を見ると、リーダーっぽい男がニヤリと笑った。
「お前、どうやって監督に取り入ったんだよ?」
「・・・は?」
日吉が眉をひそめて、先頭に立っている男を見つめる。
今、なんて言った?
「あぁ、それとも跡部に取り入ったのか?まあどっちでも良いや。どうやってレギュラーに入れてもらったんだよ日吉。」
馬鹿にしたように先頭のひとりが日吉に言えば、後ろにいた2人が盛大に笑い出した。
コイツら・・・。
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