sit in the sun | ナノ

02-4


「3年生で転入って、珍しいですね。」

どんな一言が出てくるのかと身構えていたのに。彼の台詞は全然予想していなかったもので、思わず拍子抜けした。

「あ、うん。前の学校が潰されちゃって。」

ああ、今思い出しても腹立つ!
あの後友達に聞いた話だと、学校が潰れた理由は理事長が女子中じゃなくて共学がやりたい、といったからだそうだ。
なんだそれ!意味分からん!!

「そうだったんですか。始めてじゃこの学校、迷いやすいですよね。」

俺も入学したては良く迷いましたよ、と彼がとても人懐っこい笑顔で答えた。
わ、可愛く笑うなぁ。
・・・犬がしっぽを振る姿がふと思い浮かんだのは気のせいだろうか。
と、話がそれたぞ。

「あの、それで悪いんだけど、職員室までの道、教えてもらえますか?」

やば、あと7分だ。
私も君みたいな可愛いこと話したい気持ちは山々だが、事態は急を要するのだよ!

「あぁ、そうでしたね!ごめんなさい!じゃあ行きましょうか。」
「へ?」
「また迷うといけないし、職員室まで送りますよ。」
「いやいやいや、さすがにそこまで迷惑かけられないよ!道教えてもらうだけで十分だよ。」

あ、あと現在地もだ。

「全然迷惑じゃないですよ。俺もちょうど担任の先生に用事ありましたし。さ、こっちです。」

言い終わるや否や、彼はくるっと方向を変えて歩いていった。
おおお無視かい!
しかし拒否する理由もないので、彼の後を着いてくことにした。
・・・見かけによらず、なかなか強引なのだな彼は。






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