sit in the sun | ナノ

19-6


とりあえず、モンブラン食べに行こうか。
そう言って歩き出そうとしたのに、なぜか裏門から動かない仁。
・・・何処見てるんだコイツ?

「何見てんの?」
「何でもねぇよ。」
「いや、何でもないわけ無いじゃん。そんなに睨んで。」

どこ見てるんだ?そう思って仁の視線の方向を追うと・・・そこにはさっきまで私がいた生徒会室の窓が見えた。
・・・何も、無いけど。

「何も無いならほら、さっさと歩く。仁はただでさえ目立つ子なんだから。」

そう言いながらだらだらと歩く仁の背中を押す。

「お前、さりげなく酷い事言うよな。」
「だったらその白髪やめたら?」
「うるせぇ、俺に指図すんじゃねぇ。」
「モ ン ブ ラ ン。」
「・・・クソッ。」

からかいすぎて怒ったのか、早足でさっさと歩き出す仁。そして慌てて私も後を追う。
だけどしばらくすると、私の歩幅に合わせるようにスピードがゆっくりと落ちていく。




ほんと、不器用な優しさというか・・・。




「そういえばこの前、山吹の生徒に病院送りにしたとかヤクザとの繋がりあるとか仁のこと噂されてたよ。」
「ハッ面白れぇ。」

少し前にコンビニでひとり雑誌を立ち読みしていたときの事。たまたま隣で立ち読みしていた山吹の男の子達がそう言っていたのだ。
うちの亜久津はヤバい、どこかキレてる、と。
・・・そんなの嘘なのになぁ。




・・・確かに病院送り手前はあったけど、ね。




確かに仁は見た目怖いしガラも悪い。
特に仁の睨みとか、本当に怖い。本当に怖い。
だけど、私よりもロマンチストだったり、案外涙もろかったりする。
動物の感動系には特に弱いんだよね。パトラッシュとか、かなりきたのかすごい泣いてたなー。
その姿が面白くて笑ったら、なんでこんな感動的なシーンで笑ってんだテメェ!とかいって殴られたなぁ。あれ、本気で痛かったなぁ・・・。
とにかく、仁は見た目と性格が違うんだよね。暴力的なのは見た目通りだったりするけど。
絶対見た目で損してると思うんだけどな。
・・・まぁ、好青年の姿した仁なんて、想像出来ないけどさ。

「おい、映。」
「ん、何?」
「モンブラン。」
「はっ!?仁2個目食べる気!?」
「文句あんのかよ?」
「あるでしょ!私のお金だよ!?ひとりで来た時に思う存分食べなよ!」
「・・・ひとりでじゃ意味ねぇんだよ。映とじゃなきゃ・・・。」
「・・・は?」

ってちょっとまてー!
なにぼそりと呟いちゃってるの?
何この展開!?
え、何いきなり言おうとしちゃってるの!?






「テメェとじゃなきゃ、モンブラン頼めねぇだろ恥ずかしくて。」






うん、何となくこの落ち分かってた!








ティータイムといきましょうか
3個目お持ち帰りしようとしても駄目だぞ畜生!




(20081015/20100601修正)

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