sit in the sun | ナノ

02-3


あ、足音が近くなってきた。
全力で廊下を駆け抜け、突き当たりの角を右へ曲がる。わ、ずるって滑りそうになった!あぶな!
バランスを立て直し、またさらに廊下を走る。走る走るー!!
お!前方に、さっきの足音の主を発見しました!
どうやら男子生徒みたいです。背が高いです。
こんな時間になんで学校に居るんだろう?早起きが趣味?年よりか!
と、そんなこと考えてる場合じゃ無かった!
とにかく引き止めないと!




「ちょっとそこの君ー!!!!」




私は大声を張り上げた。
そりゃあもう、うんと。おお、廊下に木霊した。
前方にいた彼は、すっと立ち止まると左右に首を振り、少し間が開いてから後ろを振り返った。

「あ、あの!」

もう一度大声で話しかけてみた。目があった。

「俺、ですか??」
「そう、君に。」

走っていた勢いを減速させながら、彼に近づいていく。
あ、なんか明らかに不審がられてる。しょ、ショック!あんだけ大声で叫んだらそりゃ引くか・・・でもショック。
ああでも今はそんなの気にしている余裕はないのだよ。
なんたって、あと10分で職員室着かなきゃなんだから!最優先事項だ!

「私、今日から3年に転入してきたんだけど、その、迷子になっちゃって・・・。職員室までの行き方教えてもらえないかなって。」

すると彼は、ものすごく驚いた顔で私の顔を見てきた。え、そんなのに驚く事!?
・・・まあ、驚く事か。
学校で迷子になって道教えて下さいだもんな。
ああでもこれで断られたらヤダなぁ。






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