sit in the sun | ナノ

17-4


「あれ、手塚君。」

ランニングをしていると、目の前に手塚君を発見した。
姿が見えないと思ったら、彼もランニングをしていたようだ。

「試合見ないの?」
「試合は全部ビデオに残している。問題はない。」
「なるほど。」
「あぁ。」
「・・・。」
「・・・。」

なぜかそのまま一緒にランニングする私たち。
手塚君のスピードはちょっと早く感じたけど、苦しくはなかった。
ただ、手塚君は汗一つかかないで爽やかに走っていた。




「手塚君って部長の鏡!って感じだね。」

なんだか黙々と走っている手塚君を見ていたらそう思って。突然だけど、手塚君に走りながら私は話しかけた。
すると手塚君はそうか?と驚きながら返事を返してくれた。

「そうだよ。うちの部長も手塚君見習ってくれたら良いのに。」
「跡部が不満なのか?」
「俺様過ぎ。ナルシスト過ぎ。余計なフェロモン出し過ぎ。」
「・・・随分な言われようだな。」
「だって思うでしょ?強いのは認めるけどさ。」
「跡部にはリーダーとしての才能がある。相手を見抜く力もすごいと思うぞ。」
「まあそうだけど・・・。」

そこは認める。
あれだけの部員をまとめ、プレイでも常にトップに立ち続けている。
私が怪我した時も、真っ先に気がついたしな・・・。

「いやいや、跡部はそんなすごいやつじゃない。私の事だっておもしろ半分でマネージャーにしたんだし。」
「そうだったのか?」
「突然お前は今日からマネージャー!ってね。私の素性だって良く分かってなかった時にだよ?」

ちょっと初対面で叩いたからって、そこまでしなくてもねー。

「そうか。でも平塚は辞めようとしなかったのか?その気になれば退部ぐらい出来ただろう?」
「そうなんだけどね。テニスはもともと好きだったから、みんなのプレー見てたら楽しくなってきちゃって。」
「あぁ、そう言えば不二が言っていたな。平塚はテニスが出来ると。」
「幼なじみとテニススクールに通ってたんだ。まあここ何年かはやってなかったけどね。」


「・・・どうやら跡部の目は確かだったようだな。」
「え?」


「そろそろコートに戻るぞ。」
「あ、うん。」

コートに戻ると、ちょうど第5試合が終わるところだった。
え、てか早くない!?

「まあまあ、深く考えないで。はい、映先輩。」
「あ、うん、ありがとう。」

疑問だとか突っ込みたい事だとか沢山あったけど、とりあえず鳳君からラケットを受け取りグリップを握る。

「それでは第6試合、芥川対平塚の試合を行う!」






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