sit in the sun | ナノ

16-5


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タオルを手に戻ってくると、あいつは地面に倒れていた。
何かあったのかと急いで映のもとに駆け寄って行くと・・・ジローが下敷きになっていた。
なんだ、脅かすなよ・・・。
ため息を吐き、2人に近付く。どうやら、仲直り出来たみたいだな。
全く、人騒がせな奴らだ。
これで一安心か。






そう思う反面、なぜか心が騒いだ。






「おいお前ら、いつまでそうしてんだ。」

こっちに気が付く気配が全くなかったので、俺は2人に声をかけた。
すると映が弾けるように振り向き、慌てて立ち上がった。

「ご、ごめんジロー!」
「全然平気だC〜。」

そう言うと先に立ち上がった映が手を伸ばし、その手を掴んでジローが立ち上がった。

「保冷剤だ、冷やしとけ。」
「あ、ありがとう。」

差し出したタオルを受け取ると、目に当てて冷やす映。
それにしても・・・酷いな。
まぶたが腫れてるうえに、目が充血してきてるぞ。

「映、部屋に戻れ。」
「え?」

映が不安そうな顔をした。
・・・勘違いさせたか?

「もうすぐ午後の練習でみんなコートにやってくる。そんな顔さらす気か?」

そう言うと映は慌ててジャージから携帯を取り出し時間を確認すると、ごめん、すぐ戻るから!とだけ言って部屋へと走って行った。
・・・全く、騒がしいやつだな。




だが、あの方があいつらしいな。




そんなことを思ったら、頬が緩んだ。

「跡部。」

ふと名前を呼ばれ、俺はジローの方を向いた。

「ありがとう。」
「・・・あぁ。」

にこりと、心から笑うジロー。
やっと、お前もらしくなったな。

「心配かけたけど、もう大丈夫。」

じっと、俺の目を見て話すジロー。

「仲直り出来て良かったな。」
「うん、跡部が映を離さないで側に居てくれたからだと思う。」
「・・・お前、見てたのか?」
「見てた。ずっと見てたよ。それで、気がついたんだ。」




止めろジロー。



聞きたくない。






「俺、映が好き。大好き。」

俺の目を真っ直ぐ見つめたまま、にこっと笑いながら話すジロー。

「だから、もう離さない。これからは俺が、映の側に居る。」
「・・・そうか。」




もう、跡部にも渡さない・・・。




「あ?何か言ったか?」
「ううん。あ、みんな来たC!おーい!」
「なんやジロー、えらい早いなぁ。」
「えへへ、偉いでしょ〜?」

すっかりと調子を戻したジローに、みんなが安心したのか笑顔で集まる。
心配させやがってと岳人が肩を叩けば、全くだぜと言って宍戸がジローの髪の毛をぐしゃりと掻き回した。

「なんやジロー、調子戻ったみたいやな。良かったやん。」
「ああ。」

俺の方に来た忍足がジローを見ながら話しかける。
良かった。
そうだ、良かったんだ。




それなのに。




素直に喜べないのは、どうしてだ?









君が好き!
そう叫んだお前が、羨ましくも疎ましくて






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