sit in the sun | ナノ
16-4
自分の気持ちが分かったとたん、映が俺にとってすごく大切で、愛しいってことに気が付いて。
早く映と話したくて、映に触れたくて。
跡部が遠くに離れたのを確認すると、俺は映のもとへ近付いて行った。
「ジロー・・・。」
ぽつりと映が呟いた。
たぶん、俺が後ろにいるのには気がついていないんだろう。
「なぁに?」
だから俺が返事をすると、映は驚いた顔でこっちを振り返った。
俺はゆっくりと近寄って行って映の前にしゃがみ込む。
目線を合わせようとするけど、映は俺の方を向いてくれない・・・。
「映、ごめんね。」
そっと、呟いた。
「ほんと、ごめんね。」
もう一度そう言うと、映が驚いて顔を上げた。
やっと、目が合った。
「そんな、私の方こそごめんね。」
映が泣き腫らした目でそう言った。
何で映が謝るの?
悪いのは俺だよ。全部、全部。
「ううん、映は悪くない!俺が、1人でイライラしてて、八つ当たりして・・・。」
言っているうちに、どんどん声が小さくなっていくのが分かった。
本当、情けないなぁ。
「私が嫌いになったんじゃないの?」
不意に、映が震えるような声で尋ねてきた。
「全然違うC!俺、映好き!」
「ほん、と・・・?」
「本当。」
映が驚いた顔をしていた。
「私も、ジロー大好き!」
そう言って、ガバッと俺に抱きついてくる映。
きっと映はまだ、分かっていない。
俺の好きと、映の好きが違う事。
でも、いつか絶対伝えてみせる。
俺はもう、映を離さない。
俺は上に乗っかってる映を、ギュッと力強く抱きしめた。
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