sit in the sun | ナノ
16-2
「ジロー。」
後ろを向くと、やっぱりジローがいた。
そしてジローはそのまま前に回り込んで、私と同じ目線までしゃがんだ。
ど、どうしよう。
さっき逃げてきたのに、こんな状況になるなんて。
顔が、上げられない。
ジローの顔、まともに見れないよ・・・。
「映、ごめんね。」
突然、ジローがそう呟いた。
「ほんと、ごめんね。」
今度ははっきりと聞こえた。
私は驚いて、ジローに目線を合わせた。
「そんな、私の方こそごめんね。」
「ううん、映は悪くない!俺が、1人でイライラしてて、八つ当たりして・・・。」
ジローが下を向いて、ぽつりぽつりと喋りだした。
八つ当たり・・・?
じゃあ、避けられてたのって・・・。
「私が嫌いになったんじゃないの?」
そう言うと、ジローがバッと顔を上げた。
「全然違うC!俺、映好き!」
「ほん、と・・・?」
「本当。」
私の目をじっと見て、そう言うジロー。
「私も、ジロー大好き!」
ガバっとジローに抱きついた。
ジローはそんな私を、思いっきり受け止めてくれた。
「うわっ映!?」
勢いがありすぎて、そのまま私は前へ倒れ込んだ。
いつもなら私がジローに潰されたりするのに、今は逆。
私がジローの上に乗っかって倒れている。
「・・・ふふふ、あはは。」
「えへへ、あはは。」
どちらともなく、笑みがこぼれた。
ぎゅっと、ジローが優しく手を回してくれた。
その腕が温かくて、懐かしくて、思わずまた涙が出そうになった。
- 90 -
[*前] | [次#] | [戻る]