sit in the sun | ナノ
15-6
「おい映、まだ寝てんのか?」
俺は翌朝、映の部屋へやってきた。
今、朝の7時半。朝食は8時からだと言ったのにこいつはまったく起きる気配がない。
ふと顔を見ると・・・涙が頬を伝っていた。しかもまぶた腫れ上がってるじゃねぇか・・・。
すっと涙を拭うと、映がかすかに動いた。
「ジ、ロ・・・」
こいつ・・・。
「映、起きろ。」
「んん・・・。」
なかなか起きないかと思ったが、布団を奪い取るとあっという間に起きた。
「さ、寒い!」
「さっさと起きろ。」
「あ、跡部!?」
そして、いつものあいつに戻っていた。
「せっかく起こしてやったのに、随分な言い草だな。」
「うるさい変態。」
「はっ別にお前なんかに欲情しねぇよ。」
「変態!!!」
投げつけられた枕を受け取ると、悔しそうな顔をしていた。
そして早く出て行けという映の言葉を受け、俺は部屋を出ようとした。
っと、そうだ。
「おい映。」
「つめたっ!」
部屋から持ってきた保冷剤を投げつけると、驚いた顔をしていた。
そして慌てて洗面台に行って、奇声を上げていた。
ったく、コロコロ表情変わるやつだな。
「お、跡部おはようさん。」
「あぁ。」
そして朝食で食堂にやってきたときは、あいつはもう笑顔になっていた。
いつもと同じように、笑っていた。
なのに、なんで。
「おい、どうしたんだお前。」
昼に見たあいつはまた、泣いていた。
「離してよ、跡部・・・!」
「んな顔してるやつを離せるわけねぇだろ!」
「何、で・・・何で!どうして・・・」
らしくない。
そんな顔をするお前も。
こんなことをする俺も。
そして、
「あとべ・・・!」
今、離したくないと思う感情も。
交差する
互いの思いも、涙も、腕も
(20080901/20100601修正)
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