sit in the sun | ナノ

15-5


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映の様子がおかしい。






朝はあんなに元気だったくせに、昼からあきらかにおかしい。
ジローも様子がおかしかったけどな。

「明日の午前中は基礎練だ。ただ午後からは氷帝と青学で練習試合をする。」
「おっ練習試合か!」
「その試合の対戦相手はどうやって決めるん?」
「うちの乾のデータで作ったらどうだ。なかなか面白い試合が出来ると思う。」
「それで頼む手塚。」
「分かった。頼んだぞ乾。」
「ああ、作っておこう。」
「明日は朝8時に朝食だ。分かったな?」
「おい、映、映?」
「え・・・?」




チッ、なんて顔してやがるんだ。




「てめぇ、話聞いてたか?」
「ご、ごめんなさい・・・。」

あいつらしくない。
こんなあっさりと謝罪の言葉を口にするなんて。
いつもなら憎まれ口を叩くくせに。

「映。」
「はい・・・。」
「お前はもう部屋に戻って休め。」
「私なら大丈夫だから!ちょっとぼーっとしちゃったけど。」

らしくないんだよ。
逆にこっちが調子狂う。

「いいから、今日はもう戻れ。」
「でも跡部、」
「戻れ、映。」
「・・・ほんと、ごめん。」

そう呟いた映の声は、震えていた。




本当に、らしくない。




その夜、気付いたら俺は映の部屋の前に立っていた。

「映、いないのか?」

部屋をノックしてみても、返事が無い。
俺は映の部屋に入った。
しかし部屋にあいつの姿は無かった。
どこにいったんだ?
ふと窓から外を覗いてみると・・・ベンチにあいつがいた。
映と・・・不二か?
遠くて良く分からないが、映の肩がかすかに震えているような気がした。
あいつ・・・。




俺は自分の部屋へ戻って行った。




「跡部、どこ行ってたんだ?」
「ちょっとな。宍戸、保冷剤持ってなかったか?」
「冷凍庫に入ってるぜ。どっか痛めたのか?」
「いや、何でも無い。もう寝るぞ。」

しばらくしてから、ドアの閉まる音が遠くから聞こえた気がした。






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