sit in the sun | ナノ

15-4


「ジロー先輩、ボール!」




あ、と思った時にはボールが横を抜けていった。




「ごめん、鳳。」
「もう、練習の時は寝ないで下さいよ。」
「うん、ごめんね。」
「ジローお前昨日からおかしいぞ。」
「んー、平気だC〜。」

昨日は良く眠れなかった。
そのせいなのか、さっきからミスばっかりだ。
テニスに集中しなきゃ。
ボールを打ち返さなきゃ。

「おいジロー、お前休んでろ。」
「まだ打てるよ!」
「いいから下がってろ。」

跡部に睨まれ、俺は仕方なくコートを出た。
それからも俺は、テニスに集中出来ずに午前中の練習が終わった。




ひなたぼっこしに行こ・・・。




お昼ご飯を食べ終わった後、俺は1人で外へ出て行った。
ちょうど日当りの良いところがあって、俺はそこにごろんと横になった。
太陽が、すごく温かい。


なんか、映の笑顔みたいだな・・・。


そんな事をぼんやり思いながら、俺はそのまま眠りについた。
そして俺の見た夢の中には、優しく笑う映がいた。
俺の隣で、前みたいにひなたぼっこをして。
綺麗に笑って、俺の髪の毛を撫でた。
それが夢だと分かっていても、俺は嬉しくて嬉しくて。






「映・・・?」

目が覚めた時に、本当に映が居たんじゃないかと思って辺りを見回した。

「そんなわけ、ないのにね・・・。」

そう思ってふと横を見ると、草が倒れていた。
これって、誰かが座った跡・・・?




「映・・・!」




俺は思わず走り出した。
ちゃんと、正面から話さなきゃ。
まだ胸はもやもやしてる。
だけどそれより、映と話したい。
笑顔が、映の笑顔が見たい。






「映!」

コートの奥に俺の探していた映がいた。
そして、




「あとべ・・・!」




跡部に、抱きしめられていた。






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