sit in the sun | ナノ

15-2


「とりあえず、外周行くぞ。」

あの後、なんか気まずくなった俺は映と一言も話さなかった。
こんなはずじゃなかったのにな・・・。

「いたっ!」
「おい、どうしたジロー?」

気を散らしていたら、どうやら足をひねってしまったみたいだ。
なんかもう、散々だなぁ・・・。

「足ひねったみたい・・・。」
「とりあえず歩けるか?」
「うん、大丈夫・・・!?」

歩き出そうと足を踏み出すと、激痛が体を走った。

「おい、肩つかまれ。」
「・・・ごめん。」
「大丈夫?僕も手貸すよ。」
「ああ、悪いな。」

横から声がしたと思ったら、腕を支えられた。




青学の不二だ。




「良いよ、平気だC!」
「遠慮しなくて良いよ。コートまであと少しだし。」

結局俺は、跡部と不二に支えられてコートまで帰っていった。
ベンチまで連れてってもらって座ると、映が心配したのかこっちに走ってきた。

「ジロー、足見せて!」
「大丈夫だって。」

俺、かっこ悪いな・・・。
心配かけるし、不二に運ばれるし・・・。

「大丈夫なわけ無いでしょ?ほら、手当てするから!」

俺の足元にしゃがみこみ、ケガの手当てをしようとする映。

「っ、触るな!!」




気が付けば俺は、反射的に映を突き飛ばしていた。




「・・・!」
「ジロー!てめぇ何してんだよ!?」

跡部に胸倉をつかまれた。
違う、違うんだ!俺はこんなことをするつもりは・・・。




「なになに〜?何かあったの〜?」

俺の騒ぎを聞きつけて、みんなが集まってきた。
氷帝のみんなはもちろん、青学のヤツらも。
あ、嫌だ・・・。

「大丈夫、何でも無いよ!ちょっと私が転んじゃってさ。」

映が、かばってくれた。
俺が悪いのに。俺が突き飛ばしたのに。俺が全部、元凶なのに。
かっこ悪すぎだろ・・・!
居ても立ってもいられなくなって、俺はその場から逃げ出した。
足をくじいてさっきまで痛かったくせに、ものすごく早く走れた。






だけど、胸がものすごく痛かった。
痛くて痛くて、張り裂けそうだった。
もう、何がなんだかわからなかった。
俺は映の笑顔が見たかっただけなのに。
あの、俺の大好きな笑顔が。
太陽みたいに明るい、映の顔が。






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