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恋愛学に論理は要らない

中央の噴水を抜け、入口のモーグリに挨拶するとエントランスへと抜ける扉を思いっきり開ける。
魔道院と言うのに相応しい壮大なエントランスに各教室につながる魔法陣。
モーグリがくぽーと挨拶すると、ナインはそれにも気がつかず駆け足で0組の教室へ向かった。
0組の教室の扉を思い切り乱雑に開けると、扉を開けて目の前に居たサイスに怪訝そうな顔をされる。
「みんな聞いてくれ!!!」
「ああん?」
サイスと目が合うと、不機嫌なオーラに寒気が走る。
ぞっとしたがナインにとっては一世一代の出来事だ。
早く自分の話を聞いてくれ!と言わんばかりにそれを無視し、教卓の前へ立つと0組皆に言い放った。
「今日、会ったんだ!!」
「何にですか?」
「あの、あれだほら、優しくて可愛くて天使みたいな……」
「ああ、天使ですか?天使と言えば古代、ヨーロッパで……と言い伝えがあり、……」
「はい!はい!シンクちゃんも天使見たことあるよぉ。すごく可愛いかったぁ。ナインも見たんでしょ〜。」
「シンク、それは天使ではありません。そもそも天使というのはですね………」
「おい、コラ。人の話を聞け!」
「そもそも、なぜこのような話になってしまったのか…」
「はいは〜い。それ僕も見たよ〜。プラチナブロンドの髪のきれいな子でしょ〜?」
「それだ!!ジャックも見たんだなコラ」
「うーん。確か…今日入ってくる転室生の男の子だったような……。」
「は?」

「静かに。」
騒がしかった教室も、クラサメ指揮官の言葉でピシャリと静かになる。
扉を閉めると、各自自分の席に座る生徒達はクラサメ指揮官を目の前に無言になった。
何か言いたげにしているナインを他所にクラサメ指揮官は言葉を続ける。
「諸君。君たちに連絡がある。我がクラス0組に転室する新しい生徒を紹介する。」
入ってこい、と言葉を発するクラサメと同時に開いた扉は、この物語を始まりを予感する合図でもあった。
「何か諸君等に一言。」
「エースだ。宜しく。」
さっさと空いている席に向かう。
「……それだけか。」
プラチナブロンドの肩まで伸びる髪。アイスブルーの瞳。それに整った顔立ちは、先ほどの出会った彼女に似ている。
それに、赤いマントに男物の制服。紛れもなく0組の生徒になる彼女…いや、彼だった…って…
「はあっっ???」
びっくりして立ち上がってしまったナインは固まってしまう。本日二度目である。
「静かに。」
あまりにも取り乱す様子にびっくりしたエースは、大丈夫か?と声を掛ける。
「残念だったね〜。」
「彼女が天使ですか。」
「ほんとだぁ。可愛いね〜。」
「まだ言ってるんですか?」
「男の人だったみたいですね。」

クラサメの静かにしろと言わんばかりの鋭い目つきに生徒達は静かになる。
エースは空いている席に座ると、固まってしまったナインに、宜しく、分からないことがあるときは教えてくれ。と伝えた。とは言っても聞いていないが。
「静かに。彼は他クラスでもトップクラスの実力と優秀さを誇る。諸君等も心して鍛練に励むように。」
えーと、朝出会った彼女は0組に入る転入生で、制服は男物。
って事は、彼は男性だ。
やっと目を覚ますと、エースの、
朝はありがとうという台詞に確定した。
一足早い春の訪れに、
彼らの物語は始まったばかりである。
これからの未来は彼らによって紡がれていく。
ーああ、彼らの未来に幸あらんことを。

byクラサメ
恋愛学に理論は要らない
(「そういえば、何で朝、女物のワンピースだったんだ?」)
(「あれは、クラサメの趣味だ。」)
(「はあっ!?」)
(「…悪いか」)
(「いや、かわいすぎるだろ、」)
* * * *
あとがき
長い方だったのでかなり文章が無茶苦茶になってしまいましたが、考えていて楽しかった!


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