あたたかい陽気と共に春の香りが霞め、さらりと髪が揺れた。 カランと硝子のコップから氷が割れる音がすると、銀色の髪を揺らしながら立ち上がった彼は、氷の入っているコップを持ちシンクへ向かった。 窓に手をかけ、肘を立て懐かしい曲を口ずさみながら外の景色を見る。
「きれいだなぁ…。」
そのぽつりと零した言葉は、外の世界へと消えていった。 目を伏せ、さらさらした銀髪が映える容姿に今にも眠ってしまいそうな彼、ホープは今、コクーンのある建物の中で外の景色を眺めていた。 とはいっても辺りは超ハイテク機材でできた近代的な建物ばかりで、移動手段は全て空中も移動できる乗り物。 パルスにある自然豊かで広大な景色が望めるような外観でもなく、ましてや人間以外の生き物は見当たらない。 自然に対する感慨はではなく、人口物の建物に綺麗という言葉は余り似つかわしくない、しかし、思おうと思えば合うかもしれないが。
「あの、色は…? …知ってる。」 彼は意識が薄れているのか、うとうとと顔を伏せ、目を閉じた。
きれいな、あの色…は? 桃色の、
「ホープ!」 懐かしい声が聞こえたと思うと、目の前に桃色の髪が見える中覚醒した。 いまでは会えるはずもないあの人が目の前にいて、驚き戸惑う。 「よく眠っていたな。…寒くなかったか?」 「いえ、ライトさんが暖をとってくれたおかげで、寒くありませんでした。」 しばらく沈黙が続き、二人は気まずい雰囲気を持ったが、話題を無理に作ろうとしたのか、ホープは突然言いだす。 「そういえば、ライトさんの髪って綺麗ですよね。」 しばらく沈黙が続き、しまった、とホープは顔を赤らめた。 そうですよね、すみません。と一言言い終わる前に、ライトニングは言う。 「そうか、ありがとう。ホープ。」 余り目にかかれない彼女の笑顔にいまさら恥ずかしくなったホープは、顔を赤くして俯いてしまった。 しばらくしてホープの様子にほほえましくなったライトニングは、ホープを諭すように言った。
「そうだな。お前の髪もきれいだな。手入れも行き届いているし、…」 「え?」 「それに、銀色は一番ホープに似合う。」 それ以来、ホープは自分の髪が好きになれた。 自分という存在が、認められた気がした。 「ホープ?」 ありがとうございま…あれ、 ー…… 気がつけばそこは窓枠に切り取られたコクーンの街並だった。 全てはコクーンを支えるファルシがもたらす世界。 ヴァニラさん、ファングさんが支えるコクーン。コクーンの機能を持続させているファルシの機能は低下し、いつコクーンが落ちるかわからない。
この世界に、いるわけないのに。
そう心でつぶやくと、頬に水分がつたっていることに気がついた。
いつもあなたは僕の夢に出てくる。 それさえも辛いなんて。
それが涙と気付いたのは
あなたを失ってからでした。
----------- 思いついたまま書き綴ってみました。 多少、無茶苦茶で意味不明な部分あるかもしれませんが… 自分がこうなってしまったときの気持ちを綴ってみました。
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