まだ、暖かい日差しが入る時間、彼女は居た。 肌に感じる温度差に、少し身震いした。 一点を見つめるように仕事に関する書類を処理し、毎日を勤しむ。 平和な日常で、ただ自分にとって不都合なことといえば両親が居ないことと妹の隣りにいるあの男ぐらいだ。 ただ、毎日のように軍での仕事をこなし、大切な妹を守るために生きてきた。 理想を掲げて生きていくにも、現実は酷なことの方が多い。 でも、自分にとって酷なことといえど世の中すべてに比べれば幸いなことだ。 だからこそ、今ある大切な人を守って生きていく。 ただ、自分にとって最愛な妹にも大切な人が居て、そんな二人を見守ることは自分ではできなかった。 今までずっと見守ってきたセラを、出会ってしばらくの男に取られてしまったことが屈辱だった。 これからずっと妹を守って行くのは自分のはずだった。 だって、妹を守れるのは自分だけだとばかばかしいかもしれないが思っていたから。 ー…… 目の前には、居るはずのない妹がいた。にっこりと可憐に微笑む少女は、紛れも無く私の妹だった。私とは正反対の、おっとりとしていて、私にはない芯の強さを持っている。セラは、あの男に手を引かれて私の元から離れていき、消えていった。
……ーさん 「…義姉さん?」 突然視界が変わると、動悸と息切れがした。 目の前には白い天井がライトニングを見下ろしていた。 居るはずのない妹がさきほど光の中消えていった。 そう、あれは夢だった。 「義姉さん?大丈夫か」 隣を見ると心配そうにライトニングを見つめている、スノウがいた。 「…なんでお前が。誰が義姉さんだ!」 ぎりっと目の前の宿敵を睨むと、視界が揺らいだ。 ベッドにバタリと倒れると、汗で服がべっしょりと張り付いていた。 「義姉さん、じっとしてろ。」 「……なにがあった?」 正反対にライトニングを心配そうに見つめるスノウに何故か違和感を覚えたライトニングは、自分の行動に後悔した。 「何故かって?…義姉さん歩けなくなるぐらい酔い潰れて、仕方なく連れてきた。」 一瞬頭が真っ白になった。何故って普段の自分ならこんなことはしないはずだからだ。 自分の浅はかさに嫌気がさす。 一体自分はどうしたというのだろうか。「……疲れてんだよ。しばらく眠った方がいいな。………あ、それとも一緒に寝る?」
こんな時にまでふざけた態度。気がついたら脱いであった上着を手に取り出ていこうとする。
「待てよ。」 「ふざけるな」 逃げようとする手を引くと、ライトニングの瞳は動揺したように揺らいだ。
「冗談だ。そんな顔すんなって。………セラの姉さんだから、大事な人だ。義姉さんになにを言われようとも。」
そう手を離し去っていくスノウの背中を見て、自分が嫌になった。 いつもまっすぐで素直な彼にも、ライトニングにはないものを持っていた。 だから、セラは惹かれたのかもしれない。 いつか、セラが目覚めれば、あいつが妹をずっと守ってくれる。 それでもいいかもしれない。 そんな輝きがまぶしかった。
fin. ------------- 自分でもなにが伝えたかったのかよくわからない感じになってしまいました(;ω;)なんか暗いですけど、頑張りました。
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