愛、聞こえてますか?
「たーんーさーん」
今日も賑やかETU。
そんな中不純な気持ちを持った輩がちらほらいました。視線の先には想い人。自分の気持ちに気付いて欲しい者がアピールをしようとタックルをしました。
「ぐは…っ!」
「タンさん。色気も何もナイよ?」
「いや、おま…いきなり人にタックルしといて色気求める方がおかしいだろ」
「いや、タンさんが好きすぎて?」
力が篭っちゃいました。
なんて、可愛いらしく言ってみたものの全く可愛く見えない石神に溜息を一つ。
その後は背後から抱き着いてくる石神に練習が出来ないだろ、と注意してもどうせ注意しても離さないなら無駄だろ。と諦めていた時だった。
「…ガミさん」
「ん、堀田?」
「いい加減離れてください」
ベリッと効果音がピッタリな程の勢いで丹波と石神を引き離した。
引き離した時に丹波を自分の方に引き寄せて大丈夫ですか?と紳士的に丹波に話し掛ける堀田に対して面白くないという顔をしている石神。
「堀田くん、邪魔しないでよ。流石のガミさんも怒っちゃうよ?」
「タンさんの練習の邪魔してたのはガミさんでしょ…」
「ふーん。珍しく俺に対して強気だね。でもタンさんは返してよね」
「うお…っ」
ぐいっと丹波の腕を引っ張り自分の元に引き寄せようとしたがもう片方の丹波の腕をがっしりと堀田が力強く掴んでいた。
「…離してよ」
「…無理です」
丹波を間にバチバチと火花を散らす二人に再び溜息をついてしまう丹波。
(俺の腕ちぎれちゃう)
「…村越、」
「なんですか、ドリさん」
「今日も平和だな」
「……、そうですね」
丹波の取り合いをしている石神と堀田を見ながら毎回同じ事をして飽きないのだろうかと聞いてみたくなる年長組。
確かに見ている分には目の保養だとは思うが。
力を持っている男性二人に両腕を引っ張られている丹波にとっては苦痛以外のなにものでも無かった
「おい、いい加減引っ張るの止めてやれ」
瞬間、拘束されていた両腕が自由になり丹波は広いグラウンドに倒れた。
「もう、死ぬかと思った、」
「腕ちぎれたくれぇじゃ死なねぇよ」
もっともな意見を出した堺に手を出されてその手を掴み立ち上がる。
助けてくれてありがとな、と笑顔で言われ堺は不意に丹波から顔を背け頬が赤くなったのを隠した。
それに気付かない丹波は堺に後ろから飛び付き、おんぶされる様な格好になっていた。
「何々、堺くんタンさんの人気ぶりに嫉妬しちゃった??」
「うるせぇ、重いから降りろ」
「タンさんてば無視しないでよ〜。堺さんじゃなくて俺に飛び付いてくれればお姫様抱っこ一杯してあげるよ」
「いや、それは良い」
ばっさりと一蹴されたにも関わらず丹波にちょっかいを出すあたり石神も相当丹波が好きな様子。
しかし、石神にも負けれないという堀田も石神に負けない位に丹波が好きだという自信はある。
そして、もう一人。
石神や堀田に触発されて丹波が気になってしまった堺は自分の中にあるモヤモヤにまだ気付けないでいた
end.
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