貴方がいれば大丈夫!

夏だ!キャンプだ!合宿だ!

ETUのロッカーに貼ってあった手作り感満載のポスターを見て溜息をつく。

(合宿、て…高校生じゃあるまいし)

「合宿するんスか?」

と横からひょっこり出てきた世良をちらりと見れば目をキラキラさせている子供のような無邪気な顔を見れば合宿も悪くはないなと、思わせる

「監督の言うことだからな、」

「するよー、」

「ぅわ!?」

いつの間にか俺の背後に立っていた監督に自分よりも驚いたのは世良の方でがっしりと俺の腕を掴んできた
可愛い、なんて思ったらただのバカップルだと思われるからあえて言葉にしなかった

「あははー、そんなにビックリした?世良。」

驚かせてゴメンナー、と子供を宥めるように世良の頭を無造作にがしがしと撫でる。

「う゛〜…っ、ビックリなんかしてないっス!」

「まぁ、いいじゃない。あ、これ以上は世良に触るのはやめてあげる。堺に怒られるのは嫌だしねー…」

「なんで、そこで俺が出るんスか」

「別にー…」

自分の気持ちを探られた感じになり多少不機嫌にはなったが、いつまでも苛々している訳にはいかないので直ぐに気持ちを切り換える

「…ところで、合宿はいつ、」

「あした」

「は、?」

「聞こえなかった?あーしーた!」

聞こえてはいたが今日ポスターみ見たというのに明日が合宿なんて急すぎるだろ。案の定ロッカーに段々と集まって来たメンバーに監督がポスターを見せ明日合宿だから準備しとけよーと忠告していた



合宿当日。

早朝6時。ETU本部グラウンドに集合。というわけでメンバー全員大集合。

「はい!皆集まったねー、皆偉いなー」

「時間決めたアンタが1番遅いって駄目だろ」

「固いこと言うなよ村越ー、」

ぽん、と村越さんの肩を叩き。お前等はやくバス乗れー。飛行機間に合わなくなんだろー。と言う監督。なぜに飛行機とメンバー全体が頭に疑問符を浮かばせている時に監督はいつものようにニヤリと悪い顔をして、

「合宿場所は山だからね、自然がいっぱいの所の方が練習はかどるだろ?」




合宿現地、

「うわ、本当に山」

見渡す限りの山、というか森しかないという現実。どうしたものか。寧ろこんな所で練習なんて出来るのか不安になってくる。

「じゃ、今日は旅館に泊まり。これから一時間歩くからねー」

「はぁ!?」

「嫌なら良いよ、こんな山の中にいて夜中に熊とか出ても俺知らないからね」

なんて白々しい事を言い放つ監督にしょうがないというように流れで監督の後ろを渋々付いていった。実際バスに乗り飛行機に乗り再びバスに乗りで疲労感は既にいっぱいだ。無事に目的地に着いたものの、皆疲れの色を隠しきれない

「なんだよ皆体力ねぇなー」

「監督途中から後藤さんにおんぶさせてたじゃないっスかぁああああ!」

「だって、後藤が良いよって言ったもん。とりあえず、皆疲れてる位なら練習は明日から!明日からは皆覚悟しろよー」

監督の指示どうりに行動をする中世良が一人監督に捕まって何やら喋っていた。こちらに走って来た世良に何を喋っていたのかと聞くと大丈夫っスと一言。にしては嫌な予感がする

それから部屋わけをされ、なぜか世良と一緒の部屋にはなったが、不思議な感じだな。くじ引きなのに一緒になる事なんてそうそうないだろうに
部屋一緒っスね!と満面の笑みをこちらに向けてきた世良に口が緩むのを我慢出来ずに世良が自分の顔を見えないように強く頭を撫でてやった

「あの、堺さん。」

「あ、?」

「やっぱ、何でもないっス。」

「?、」

変な奴だな。何かあるなら先に言ってくれた方が楽だというのに…、やはりさっき監督になにか言われたのだろうと確信して部屋に行った



部屋は思ったより綺麗だったがとにかく落ち着きがない世良はさっきからずっとそわそわしていた。一体何が気になるというのだろうか。時計を見れば既に10時を回っていた。

(時間経つの早いな、)

取り敢えず寝巻(というかジャージ) に着替えて寝る準備をして早目に布団に入り目を閉じる。特に眠気は感じられないが。まぁ、すぐに寝れるだろうと思った時だった。



「さ、堺さん…ねました?」

遠慮がちに世良が話しかけてきた

「いや、起きてるが」

「あの!一緒に寝てください!」

「……は?」

何を言っているのだろうかコイツは。確かに馬鹿とは知っていたが…、いや悪くは無い、が、しかし今は皆いるわけだし…どうしたものか

「さっき監督が…こ、この旅館に幽霊でるって言ってて…しかも俺と堺さんの部屋に出るって話し付け足してきて…、なかなか眠れないんスよ…、」

監督が言った事は世良を騙す為の作り話だとは思うが簡単に騙されすぎじゃねぇのか?と怒りたくはなるが純粋に幽霊を怖がっている世良をこっちの布団に入れと促して強く抱きしめてやる

「…、堺さ?」

「これで怖くねぇだろ」

「…はい…、」

ずっと抱きしめたままでいると世良の寝息が聞こえてきた。寝るのが早いなら先に寝てれば良いと思ったが抱きしめたままでいる世良の大人とは思えない体の温かさに眠気を誘われ自分も明日の練習に備えて寝ることにした。



end.

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