鈍感だけれど愛しくて
今日は晴れ、かなり天気は良い方だと言えるが…、自分の気分が晴れないのはきっと世良さんに問題があるのだろうと分かっているつもり。堺さんと付き合ってる割には喧嘩(世良さんが勝手にしょげてるだけ)して自分の所に相談しにくる。悪いことではない。寧ろ嬉しく思う時だってある。しかし、俺に全部言った次の日にはもう堺さんとイチャイチャしている。俺は当て馬かよ!その夜、また喧嘩したらしい世良さんは俺の家に来た
「赤崎ー!聞いてよ!!また堺さんが!」
ほら始まった。堺さんの愚痴というより惚気みたいな話し。やたら長い。でも話してる時世良さんはそんな事を思い出して涙を瞳にいっぱい溜めて話す。
「う゛…っ、だからさ!、おれ、堺さんに…っ、褒めてもらいたくて…ひっく、」
「空回ったんスね」
ついに大きな瞳からはぽたぽた涙が垂れてくる。泣くくせに別れようとしない当たり世良さんは本当に堺さんが好きなんだと思う。堺さんじゃなくて付き合ってたのがもし俺だったら泣かせないのに、なんて思っても手遅れ。どっちにしても、世良さんはずっと堺さんが好きだからしょうがないと思う。世良さんが幸せなら良いと思うけど、泣き顔は結構クるものがある。泣いている世良さんを見ていたらつい頭を撫でていた。以外と柔らかい…髪の毛
「あっ、あかさきぃいい!」
名前を呼ばれてタックルされる。至近距離で食らうなんて、てゆうか間近でタックルするんだ。世良さん…、
「赤崎って優しいのか何考えてんのか分かんないし、クールなのかと思えば、ナルシストなのかなとか色々思う事はあるけどやっぱり優しいんだな!」
悪口がいっぱいあった気するんだけど気のせいスか世良さん。にっこり笑う世良さんは可愛い、なんか癒されるものがある。でも、こういう顔みたら、つい虐めたくなるというか…ね?、
先程世良さんがタックルしてベッドに俺が押し倒されているような状態だったが、笑ってる世良さんを逆に押し倒してみれば予想どうりの、ぽかんとした表情。
「あかさき、お前…、ぷ、」
「ぷ?、」
「プロレスしたいのか?残念ながら俺かなり弱いぞ!?」
なんなんだ、この人。緊張感までまるで無し、ただ意識されてないだけな様にも感じるが、へらへら笑う世良さんに腹立って脇腹を擽ってやる
「ひっ!、あはは!…あかさ、き!あははは!やだ…っ!くすぐった…っ!!…んあ!」
今の声、なに。
一瞬で空気が固まる。世良さんの笑い声も止まった。一気に顔を真っ赤にする世良さんにこちらまで顔が赤くなりそうになりながら、何か言おうとした時に家のチャイムが鳴った。
(こんな時間に誰だよ、)
時刻は夜中の11時、こんな時間に人なんて本当に珍しい。世良さんの上から降りて玄関に向かってチャイムを鳴らした人を見ていると世良さんの大好きな人が居た。いつみても堺さん仏頂面。笑顔って見た事ないし
「今、あけまーす」
ガチャリと扉を開けてやると堺さんが律義にお邪魔しますと言ってから部屋を覗き込む。多分世良さん探してたんだろうなぁ。電話すれば、いいのに…
「あ、堺さん…」
「世良、なんでお前ベッドにいるんだよ」
「え、?、赤崎とさっき…」
確かに世良さんの今の格好は誤解を招く格好をしていた。上だけスウェット、下はガラパンでなぜかスウェットが胸辺りまで捲くり上がっていて頬がほんのり赤く染まっていて多少息が乱れていた。もしかしなくてもヤバイ状況?
「堺さ…っ、あの!」
「帰るぞ、世良」
「へ…!?あ、赤崎!ありがと…、うわわわわ…堺さん!、早いっス!!…」
いきなり腕を引っ張られて堺さんに引きずられる世良さんを見届けてやる。怒ってたなぁ堺さん。明日の練習怠そう。世良さんも堺さん並に危機感を常に持ってほしいよなぁ…、そしたら少しは自覚してくれそうだけど…、多分そんな事は一生ないんだろう…だってあの人鈍いし。
「さっ!堺さん!俺!赤崎とヤってませんよ!?誤解してないっスか!?」
ぴたりと足早になっていた堺さんの動きが止まる。やっぱり誤解してたのかな…、でもホントにヤってないし…堺さんだから勘違いしてる。気がする…
「世良、」
「…はい、」
「帰ったらお仕置きな」
「え゛…っ!?」
「分かったな?」
「う、…はい…、」
堺さんのお仕置きかぁ…嫌だなぁ、怖い…逃げたい!!こんな事になるなら赤崎の家行かなきゃよかったー!!俺の馬鹿!
end.
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