ただの趣味だよ

「堺さーん!」

今日も賑やかなETU某所、世良がいきなり俺にタックルしてきた。毎回思うがこいつのタックルは地味に痛い。何で毎回の様に攻撃してくるんだよ!

「あのなぁ、世良」

がしっと強い力で頭を捕まえるとひっと短い悲鳴が聞こえたが無視する。

「タックルされりゃ、誰だって痛いの分かってんのか?あ゛?」

「ごっ、ごめなさ、…でも、」

でも、だ?言い訳するなんていい度胸じゃねぇか。毎回タックルしやがって一回痛い目みないと分かんないのかよ。馬鹿野郎…

「赤崎が虐めるんスよ、」

しょんぼりとした顔に犬耳が生えた錯覚を覚える。犬耳が見えるなんて末期だな俺も。気が付けば世良はセーラーだし。

「おい、練習中に何着てんだよお前」

「…好きで着たんじゃないっス」

また、丹波や石神にやられたのかと思ったが世良の口から赤崎の名前が出てきたのを思い出して、世良から言い訳を聞いてやる…。てまり世良の言い分は近々に宴会をしようという達海監督の指示で選手の中で何人か女装するらしい。セーラーやメイド、ナースも色々あったらしいが、世良は苗字でセーラー服に決まって赤崎がセーラー服着るなら顔の髭切ったらどうスかと言って片手に剃刀を持って追いかけて来たと、なるほど。

「俺、髭剃ったらめっちゃガキみたいになるから髭剃るの嫌なんスよ!!生やすまで大変なんス!」

今でも十分ガキみてぇって言ったらコイツは泣くだろうか。それも見たい気はするけどあえて言わないでおこう

「…一回剃ってみたらどうだ?」

「へ!?、堺さんまで俺の敵になるんスか?」

既に涙目の世良は俺から距離を一歩置いて後ずさる。あっ、と思ったときにはもう遅かったガシィっ!という効果音がピッタリで世良は後ろから羽交い締めされていた。てか、後ろの奴って…

「丹波、お前まで何やってんだよ」

こいつのメイド服、地味に似合うのがなんだか嫌だ。同じ歳なのにメイド服着るなんて止めてくれ丹波。

「…赤崎に頼まれた…、でも以外と似合ってない?可愛いだろ!」

ギャハーって笑う丹波に頭痛さえ覚える。とりあえず丹波に羽交い締めにされてる世良が可哀相にしか思えなかった。

「丹さんナイス!世良さん逃げないで下さいよ!」

「ひ、や、めっ!いぎゃああああああああああああああああああああ!!!」

世良の抵抗は虚しくも敗退に終わった。剃られる直前までぎゃーぎゃー言ってたが、赤崎に暴れると肌切れますよ?と言われてぴたりと動きが硬直した。そして剃り終えられると赤崎と丹波から驚きの声があがった

「う゛、…ひどい…っ、」

「世良見せてみろ、大丈夫、か?」

「堺さ、…っ」

なんだコイツはなんか凄く若返るというか中学生にしかみえない、いや、ギリで高校生か?

「お前!詐欺だろ!!なんで髭剃っただけでそんな若返るんだよ!」

「だから言ったじゃないスかー!堺さんも見てたんなら止めて下さいよ!!」

「はいはい、痴話喧嘩はそこまで!堺も世良もはやく更衣室に戻ろー!」

メイドの丹波にそんな説教じみた事を言われても説得に欠けるが、今日は良しとしよう。渋々世良が丹波の後ろに着いていくが、あのセーラー服スカート短くないか?ヒラヒラとして…、パンツ見えんじゃねぇか?

「堺さん、何考えてんスか。ムッツリすね」

「お前に言われたくねぇんだよ!丹波にメイド服着せやがって!」

「似合ってるから良いじゃないスか。」












「なんか後ろの赤崎と堺うるさいな…、世良!安心しろ大丈夫だ!堺はセーラー服好きって言ってたし!!今度それで堺誘ってみろよ!」

「え、でも堺さん、セーラーは…あまり…」

「そんなん堺の意地だって!とりあえず頑張れよ!世良!」



その夜、丹波は赤崎に食べられ世良は堺を見事に誘惑して食べられました

end.

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