『朝からうるさいな…』
ラウンジに降りると、そこはとても騒がしかった。
『アレ、なにやってんの?』
「渡狸をからかってるんでしょー♪」
『あ、…そう』
蜻蛉がカルタちゃんの首に首輪を付けて、渡狸が地に伏せている。そうか、これはからかっている図なのか。
『ふーん』
「つまらないのー?」
『え、なんでよ』
「蜻たんに構って貰えなくて?」
『いやいや、望んでないわよ…ただ』
「ただ?」
ただ、たまには受け身になってあげてもいいかな。とか、まぁ恥ずかしくて言えるはずないんだけど。
『…なんでもない』
「見えた☆」
『こ、この変人ウサギめ…!』
「○○たんって生粋のクーデレだよね〜」
「そこが良いのよ!普段は表情を変えずにクールでも、ふいに見せる心からの笑顔がたまらないのよ!!」
『…野ばらちゃん』
―カチャ
『え?』
「ははは、主人に構ってもらえなくて寂しかったか!」
『誰が主人よ!なにこの首輪!』
「たまには良いだろう!」
「そうそう、良いんじゃない〜?」
『変人も変態も嫌なんだけど』
どうやらカルタちゃんと渡狸は学校に行ったようだ。どう頑張っても首輪が外せない。野ばらちゃんに助けを求めてもメニアックと呟きながら私に被写体を向けるだけだった。
「快いぞ快いぞー!」
『…もうやだ』
「○○たん、変化してよー」
「あ、あたし、名前ちゃんの変化した姿をまだ見たことないのよ…!」
『そうだっけ?…し、仕方無いなぁ』
「(デレ期だ…)」
狐火の先祖返りの私は、変化した姿を人に見せるのは好きじゃない。だ、だって耳だよ。遊びで見せたら弄られるに決まってる。
「か、か、可愛い!!!!はぁはぁ」
『……これってさ』
「完全に飼い主と飼い犬の図だよ」
「か、可愛いぞ、名前!…お手」
なにコイツ、調子にノってんの?差し出された手を叩き落としてやった。
「同じ狐でも、そうたんとはどこか違うんだよね〜」
『そう?』
「名前ちゃんの方が可愛いわ!!」
『ありがとう』
「調教しがいがありそうだ!」
『燃やすよ、蜻蛉』
「なかなかのドSだな!」
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120328