〈どうしたんだ、名前〉
二人きりの部室で、私はスイッチの横顔を眺めている。綺麗な横顔してやがる。視線だけを私に向けて、どうしたと尋ねてくる彼のPCから発せられる音声さえも愛しく思えるのはなぜだろう。
そもそも、こういった所謂「オタク」という分類の人間はタイプとは正反対であったはずだ。いや、今もそうだろう。
『でも、違うんだよなぁ…』
〈なんの話だ〉
『スイッチが好きって話だけど』
〈なっ…!!〉
『そういうとこ』
普段クールに見えて、不意打ちに弱いところとかドストライクなんだよね。そう言えば、彼は更に顔を赤くする。好きなとこ?挙げていけばキリがない。意外に悪ふざけが好きなところとか、メール弁慶かってくらいやけにテンションが高いメールを送ってくるところとか。あ、オタクなとことろも。
『他には…』
〈もっ、もう勘弁してくれ〉
『本当はもっと聞きたいくせに』
だって、スイッチは私のことが大好きだもんね。
〈な、なんで知って…!〉
『バレバレだけど』
〈!?〉
『よく私のこと目で追ってるでしょ?あれ、可愛すぎだから』
〈………〉
『ねぇ、スイッチ』
〈な、なんだ〉
『私のこと、好き?』
先程、彼が自ら「なんで知ってるんだ」と発言した以上、なんと言っても誤魔化せないのだけれど。
〈……s、すきだ!〉
全く、この子は。
『わたしも』
やっぱり可愛いなぁ。
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120313