「なぁ名前」
『なに、ヒデノリ?』
「あのな…」
『うん』
「その…」
『はよ言えや』
中途半端に帰る方向が一緒の真田北高のヒデノリと二人で家路を急ぐ。
「言いにくいんだけどな、」
『うん?』
「お前には悪いんだけど、さ…」
『うんうん』
先程からハッキリしない男だな。
言うなら言ってくれて構わないのに。
「好きな人ができたんだ」
『………』
「だからさ…別れてくれないか?」
『…………』
「……………」
『………………』
「…………………」
『私たち付き合ってなくね?』
「あっ!」
あっ!じゃないよ。
『…私、ヒデノリが好きだったんだけどなぁ。諦めるよ、ばいばい』
「え!ちょ、まっ!!」
『なによ、今から私はタダクニに会いに行くの!乗り換えるの!』
「は!?お前、それ…え?」
『さようなら』
「うそうそ!嘘ですごめんなさい!」
足を止めて振り返ると、ヒデノリが焦りつつも少し嬉しそうな表情で立っていた。私はそんな彼に笑いかける。
『今日、エイプリルフールでしょ』
「そう!そう…って、え?じゃあ俺のことが好きってのも嘘!?」
『知ってた?嘘ついてもいいのは午前だけなんだよ』
綺麗な夕陽が世界を赤く染めていた。
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120402
※間に合ってません