『………』
河川敷でヒデノリを待っていただけなのにどうしてだ!どうしてこうなった!!何が起こった!!?
「…………」
気まずうううい!!まず、この状況はなによ!なんでこの女の子は私の後ろに座っちゃうの!?近ッ!!!話し掛けてくるでもなく!というか誰!?知り合いの方ですか?すみません記憶にございません!!
「………」
チラリと後方を確認すると、例の彼女はどこかそわそわしていた。いや、そわそわしたいのは私の方なんですわ…。こんな河川敷に出会いを求めて…ボーイミーツ…ガールミーツガールですか?えぇ?
「空が…泣いています」
なんだこの人ーーーーー!!!!超面白いんですけど!!超面白い台詞を真顔で吐いてきたんですけど!!素面じゃないの!?帰りたい!ヒデノリなんか待たないで早く帰宅したい!!!それでは即座に、私は作戦実行に移ります!
『閉鎖的な空だもの…風も行き場を無くしてさ迷うしかないのよ』
何を言ってんだ私はああああ!恥ずかしい!!閉鎖的な空ってなんだ!誰か教えてくれ!あっ、でも…なんか彼女は嬉しそう!!好感触だ!
「空はこんなにも青いのに…淀んで見えます」
ノって来たーーーーー!!!本日は快晴です!私には澄んでみえます!もしや彼女がヒデノリから良く聞く文学少女!?まぁ、そうだろう。こういった珍しい人が何人もいてもらっては困る。遭遇したところでなにも嬉しくないよーーーー!!!!ここは素直に帰りますさようならって言おう。
『晴れ渡るあの空を…取り戻しに行かなくては』
私のバッカ!!!!!!!!完全に間違えた!!もう…行けるところまで行ってやるわ!
ザッ
河川敷にまた新たなる人影が表れた。あ、あれは!ヒデノリだ!
「…名前姫、お迎えに上がりました」
『…………』
名前姫って誰だあああああ!!!お前はどんな設定だと思って入ってきてんだバカ!!お前も案外こういったの好きなのな!
『えぇ、今行くわ』
足早にヒデノリを引き摺りながらその場を離れる。出来るだけ遠くに。そこで店でも開いて平凡に暮らしたい。数分前の恥ずかしい自分を埋めてやりたい。
『……あの子は』
「あぁ、例の文学少女だ」
『…それより、なんでヒデノリ君はあそこで割り込んでくるの?』
「良いではないですか、名前姫」
『姫ってのやめて!ちょ、わっ』
どこか楽しそうなヒデノリが、いきなり私を姫抱きにする。
「あの空を取り戻しに行きましょうか、姫様」
『い、一体どこから聞いてた!』
「(最初から、とは言えないな)」
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120314
台詞を考えるのがとても楽しかったです(笑)