坂田家 | ナノ





「おはよう八兄…名前は?」
「……朝起きたら既に居なかった」


午後2時くらいに目が覚めてリビングに降りていくと、そこには名前の姿はなくて八兄が遠い目でPCと向き合っていた。


「銀兄は仕事でしょ?」
「確かなー」
「ふーん…じゃあ友達か?」
「神楽は寝てるだろうし、志村姉はバイトだろうからそれも無いと考えて良いな」


さすが担任、クラスのことは把握しているな。少し関心した。


「…………彼氏」


自分の口から無意識に発せられていた言葉にハッとした。銀兄は黙ってノートPCを閉じる。


「「あはははは」」
「いやいや、ないないない」
「そんなんあるはずないって」
「まず許さねえしな」
「そうそう当たり前だっての」
「でもそれを見越して黙って…」


ハッ!じゃねぇよバカ兄貴!なんで自分で自分らの地雷踏み荒らしてんだ!バカか!


「………」
「…………」
「…誰よ」
「知らねぇよ。まだそう決まった訳でもないし」
「でも名前に気がありそうな生徒くらい居んでしょ、クラスに」
「……………名前は皆に好かれるから」
「なに、その間!」
「へーへー!いるよ!2、3人!学校全体だったらもっと居んだろコノヤロー!」
「ぎゃー!許さない!金さん許さない!」

『勝ったよ!』

「「うおおおお!?」」


なに二人して、オーバーリアクションだなぁ。そう、しれっと言ってのけるのは先程の話題の中心人物の名前本人だった。


「ごほん…で、何が勝ったの」
『銀兄が弁護した裁判!』
「「裁判かよ!!」」
『さすが、ぴったんこかんかん』
「出掛けるときは行き先と他に誰がいるのかをしっかり伝えなさい」
『だってぇ』
「だってぇじゃねぇよコノヤロー、心配すんだろ」
『ご、ごめんなさい』
「ところで名前ちゃんさ、…か、彼氏とかいんの?」
『へ?いないよそんなの』
「じゃあ、せめて好きな人とか、気になる奴とかいんだろ」
『八兄とか』
「「!?」」
『銀兄も金兄も大好き』


なんだよそっちかよ!八兄が嬉しそうな顔してるのが憎たらしいんだけど。

…うちの名前は今日も可愛い。









「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -