坂田家 | ナノ





「あー、明日から春休みだ。俺が次に何を言いたいか分かるか」
「ハメを外すなって言いたいネ!」
「ちげぇよ、お前は普段から外れっぱなしなんだから手遅れだ」
『全員進級できるんだ』
「名前正解。良かったなお前らー、ちゃんと3年に上がれるらしいぞ」


それはこのZ組にとって素晴らしいことだろう。学年でスバ抜けて問題の多いクラスで誰も欠けることなく進級できるなんて。解散ー、なんて八兄が気の抜けた挨拶をするもんだから春休み及び進級の実感なんて沸きやしない。


「名前ちゃん」
『あ、妙ちゃん』
「明日から春休みでしょ?だからお泊まり会でもやろうと思うの」
『楽しそう!』
「学生らしくて良いじゃねえか」
『なんで当たり前のようにに会話に入ってくるんですか先生』
「他に神楽ちゃん、九ちゃん…後は猿飛さんを誘おうかなって」
『私はそれで良いと思うよ』
「問題は…場所なのよ」
『うちは「ダメだぞ」…なんで!』
「名前、メンバーを思い出せ」
『……………あ、うん。ダメだ』


確定では無いけど、予定のメンバーにはさっちゃんが居るんだ。八兄だけでなく銀兄や金兄と鉢合わせたらとんでもないことになると容易く想像できる。


『神楽ちゃんちは』
「アイツは兄貴がいるから却下」
『九ちゃんち』
「カーテンのシャーだから却下」
『…妙ちゃんちは』
「新八がいるから却下」
『なんで!』
「何があるか分からないんだ、男って生き物は」
『新八くんは大丈夫だよ』
「………」
『なんで妙ちゃんが黙るの?』
「じゃあ決まったら連絡するわね」
『妙ちゃん!?』


妙ちゃんは自分の弟なんだから!自信持ってあげてよ!


「名前はこれから俺の手伝いな」
『マジでか』
「国語準備室行くぞー」


半ば強引に連れ去られる。確か、国語準備室は八兄しか使っていないんだっけ。占拠してるだけだっけ?


『相変わらず騒がしい部屋』
「どういうことだよ」
『汚い訳じゃないけど物が多い』
「これくらいが落ち着くんだよ」


八兄に手伝わされた仕事はただの資料作りだった。春休み明けに使うらしい。ページを揃えてホチキスで留めるだけである。単調な作業で少し安心した。


『みんな進級できて良かったね』
「そうだな」
『八兄が一番嬉しそうだよ』
「うっそ、まじで?」
『顔に出てる』
「あいつらがなぁ。名前に関してはなにも心配してないんだけど。お前は成績良いもん」
『八兄にはお世話になってるんだもん。私にやれることは何でもするよ』
「…無理すんなよ」


ぽすっ、と八兄に頭を撫でられる。ほんと、温かいなぁ。


「これが終わったら帰るぞ」
『うん』
「今晩はカレーライスが良いな」
『あ、じゃあ帰りに買い物していこうね』









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