坂田家 | ナノ





『八兄、コーヒー』
「ん、」


私は坂田家に居候する現役女子高生の苗字名前です。その坂田家に長男がこの食卓テーブルに座り新聞片手にコーヒーを口に運ぶ彼、銀八さんだ。通称、八兄。八兄は私の通う銀魂高校の国語教師で、担任だ。なんだか前代未聞な感じもするが、一先ず置いておいて。


「…はよ」
『銀兄おはよ、朝御飯はパンで良い?』
「うん」


ただいま起床してきたのが銀時さん。八兄の双子の弟であり、坂田家次男だ。銀兄はこの見た目とは裏腹に敏腕弁護士らしく、この前傍聴しに行った時なんか凄かった。寝起きのダルそうな姿とは真逆で出来る男っていう感じ。


「ちょ、ちょ、名前!?普通に声に出てるから!」
『嘘だぁ』
「可愛く言ってもダメ」
『ごめんごめん、パン焼けましたよー』
「むぅ」
『銀兄可愛くないよ。二人とも、お弁当はここに置いておくから』


三兄弟の男しかいないこの家で私は家事全般を引き受けている。そういうのが苦手じゃなくて良かった。三兄弟、あと一人が残っている。三男の金兄、金時さんだ。二階に上がり、彼の自室まで毎朝起こしにいくのも私の役割だ。


『金兄ー…』


返事など最初から期待していない。扉を開けて中に入ると仄かな香水とお酒の匂いがする。ベッドで毛布にくるまって頭だけを出しているの姿を確認。ほんと綺麗な金髪だなぁ…思わず撫でてしまう。


『(うわー、ふわっふわ)』
「…………ん、名前?」
『うん、金兄おはよう』
「…おはよ……名前に撫でられるの凄くきもちい」
『金兄の髪は柔らかいね。お昼ご飯は冷蔵庫に入ってるから、ちゃんとチンして食べるんだよ』
「…ふぁーい」
『じゃあ私は学校に行くからね』


あの調子だと二度寝しそう。坂田家三男の金兄はホストをやっているらしい。未だその姿は見たことがないけど、No.1ホストだとか。良く分かんないけどそれって凄いんだろうなぁ。


「名前、遅いぞー」
『八兄ごめん、間に合う?』
「嘘でーす、全然間に合う。名前ちゃんが可愛かったのでからかっただけですぅ」
『…むかつく!』


私はいつも八兄と登校する。八兄が通勤に原チャリを使っているため、その後ろに乗せてもらうのだ。べ、別に楽だからとかじゃないもん。


『銀ちゃん、いってきまーす!』
「おー、気を付けてな」


これが私の日常である。









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