「ただいまぁ」
『金兄、おかえりなさい。恒例の朝帰りですね』
「名前ちゃん、もう昼だからね」
珍しく昼頃に帰宅すると、名前が出迎えてくれる。いつもは帰ってくる時間が皆が起きる前の朝方だったりするから、誰かが家で出迎えてくれるって凄く良いな。
「…一旦寝る」
『うん、お疲れさまです』
リビングのソファに腰を下ろし、なんだかんだ頑張って仕事をしてきた自分自身を労ってやろうと思う。
『……で、なにこれ』
「名前抱き枕」
『あぁ』
ソファの上から名前の腕を引いて抱き枕のように抱き止める。彼女は納得したのか素直に目を閉じた。え?いいの?俺もこのまま寝ちゃうよ?あぁ、可愛い。双子に見られたらどやされるんだろうなぁ。まあ、今だけそれは忘れよう。
身近に感じる温もりに目を閉じた。
「…ん、」
『おはよう』
「……頭痛が」
『典型的な二日酔いですね』
頭の痛さに目を覚ますと、腕のなかの温もりは無くなっていた。その代わりに普段から名前が使っているブランケットがあった。
『2人は帰ってきてないから、まだ寝てても良いよ』
「大丈夫、なにか手伝うよ」
『うーん、じゃあ一緒に夕飯の買い物に行こうか』
たまにはこんな平凡な日も良いもんだな。近所のスーパーまでの道程を手を繋ぎながら歩いていると、二日酔いの頭痛なんて気にならなくなった。