(マフィアパロ)



ミスった。敵のやつからくらった腕の傷の痛みに我慢しながら、逃げる。角をまがり、壁にもたれて敵がどっかに行くの確認すると、そのまま座り込んでしまう。

「…っつ」

くそ、情けない。こんな弱小マフィアに手こずるなんて。着ていたシャツを破り、傷口に巻き止血をする。
こんな傷を作ってしまったらあいつに会わす顔がない。今あいつがここに居たら、哉太のバカとかいって泣いてしまうかもしれない。あいつの泣き顔は、見たくない。

(俺はあいつを守りたいんだ…)

小さいころからずっと願っていた。病弱な体がそれを邪魔していたが、やっとの思いで手に入れた守る力。こんなにちっぽけな俺でもあいつを守ることができる力。こんなところで止まっている訳にはいかないんだ。

「…月子。」

守りたい。でもその前に自分自身を守らなくては。大切なあいつの名前を呟き己を鼓舞する。
銃をしっかりと握り、立ち上がる。

この仕事が終わったらあいつとまたどこかに出掛けよう。出来れば、この赤がないところに。





(臆病を騙し込んででも君を守るから)




100215/燕樹

天野月子 烏 より





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