「ふあぁ…」
「月子、眠い?」
「少しだけ」
「いいよ、先に寝ても」
「ううん。もうちょっと起きてる。羊君と話していたい」

もう日付も変わり、町は静かで、僕たちは布団のなかで身を寄せあっていた。でも月子はもう眠そうで、とろんとした瞳で必死に僕を見つめる。

「ねえ、羊君」
「なに?」
「明日は一緒に買い物に行かない?美味しいお店見つけたの。羊君と行きたいなって思ってて」
「ほんと?うん、行こう。楽しみだなぁ」
「ふふ、羊君って本当に食いしん坊」

彼女が小さく笑う声はまるで子守唄のようだった。僕を夢の世界へ誘う。
でも、もっと話していたい。いや、いつまでも月子と一緒にいたい。今あるこの優しいぬくもりを僕だけのものにしたい。
こんな我が儘、彼女に言えばきっと叶えてくれる。でもそんなことはしない。いつか自分の力で叶えるから。
そんなことを考えていたら、僕もだんだん眠たくなってしまった。きっと彼女の子守唄のおかげだ。

「羊君あったかい」
「月子も温かい」
「そうだね」
「うん」
「…羊君おやすみ」
「おやすみ、月子」

朝起きた時、彼女のぬくもりと笑顔があれことを願って僕たちは夢におちていった。






(あなたをかぞえてねむりましょう)




100403/燕樹

天野月子 羊 より







「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -