シュボッ


「はぁー…」


壁に寄りかかり、くゆる紫煙の向こう側に見える空を、ぼんやりと眺める。


「雲一つ無い晴天、と云う訳じゃないけど…。良い天気だなぁ…」


そのまま壁伝いに座り込み、片あぐらをかく。
フィルターを緩く噛み締め、ただ、ぼんやりと空を眺める。
そうしたまま、どのくらい時間が経ったのだろうか。


ガチャ


「……」
「やぁ、恭弥」
「…何朗らかに挨拶してるの」


屋上の扉を開けて入って来たのは、並盛最強と謡われる、雲雀恭弥だった。


「…何で君が並中の屋上で呑気に煙草なんか吸ってるの。学校はサボリ?」


冴弥に歩み寄りながら、質問(尋問?)を繰り出す。


「今日は学校休み。で、天気が良かったから、屋上に来て一服してたって訳」
「訳分かんないんだけど」


冴弥の前に立ち、視線を落とす。


「敷地内への不法侵入及び校舎内での喫煙…。そんなに僕に咬み殺されたいのかい?」

トンファーを取り出し、吐き捨てる様に言う。


「まさか!」


わざと驚いた様に言い、立ち上がる。
雲雀に比べ、冴弥の方が身長が高いため、先程とは逆に雲雀が冴弥を見上げる。


「俺は恭弥に会いに来たんだよ。応接室にいるだろうと思ったけど、天気がよかったからな。屋上に来ちゃった」
「…そう」













漆黒を纏う君に

(けれど、漆黒の中に)
(まっさらな、純白が在る)