俺は、屋上で煙草をふかす。
ふー、と吐き出した紫煙を見送る。


「平和だなぁー…」


そう呟き、空を仰ぐ。


「なにジジ臭ぇ事言ってんだ」


ふと、横から幼児特有の高い声が、鼓膜を震わせる。


「リボーンじゃねぇか…何用だ?わざわざ星華学園まで来て」
「暇つぶしだ」
「暇つぶしって…」


煙草の灰を地面に落としながら、苦笑する。


「冴弥こそ何してんだ?今は授業中だぞ」


ちょん、と片胡座をかく冴弥の足に腰掛ける。


「サボリ。俺は優秀だからな、仮病使えば教員もイチコロ」


そう言って、茶目っ気たっぷりのウインクをかます。


「阿呆か」
「手厳しいな」


ウインクはあっさり流され、しかも阿呆呼ばわりされてしまった冴弥だが、あまり気にしていない様だった。


「綱吉の様子はどうだ?トマゾファミリーとも、接触したんだろ?」
「ツナは、相変わらず甘いぞ。まぁ、トマゾファミリーの事は心配ねぇぞ。近い内に、片付ける」
「笑顔で言うな笑顔で。言葉と噛み合ってないぞ」


ため息と共に、紫煙を吐き出す。


「…煙草の量、増えたな」
「…最近、落ち着かなくてな」


そう言って、短くなった煙草を消し、新しい煙草に火を付ける。


「でも、綱吉に会うと…」


そこで言葉を切り、空を仰ぐ








「安心、するんだ」
「…そうか」












紫煙の、その奥に

(青い、大空が見える)
(それは、まるで―――)