「一護!お昼一緒に食べよう」 「おう!ルキアも一緒でいいだろ?」 「もちろん。屋上行こうか」 一護が死神代行を始めてから、早くも二週間が経とうとしていた。 昼休みの時間に突入し、教室でも弁当を広げる姿がちらほらと見受けられる。 一護にルキア、そして慧斗は、各々が持参してきている昼食を片手に屋上へと階段を上っていった。 屋上の扉を開ければ、広がるのは青々とした大空に、優しく吹く風。 柔らかな陽光に包まれている屋上は、まさに絶好の場所だといえるだろう。 「あー、いい天気だなぁ」 「そうだね。五月晴れっていうんだっけ?こういうの」 いつも座る定位置に弁当を置き、授業で固まった体をぐぐっとほぐす。 背骨や肩からぼきぼきっと殺人的な音が聞こえる。 一通り関節がばきばきいわなくなったところで腰を下ろし、包みを広げる。 ちなみに、一護は妹のお手製。ルキアは買い弁。慧斗は一人暮らしなので自作だ。 「藤代君のお弁当は、いつも綺麗に盛り付けられてますわね」 「ま、これしか僕には取り柄が無いからね」 「お前すっげー喧嘩強ぇだろーが」 「少しぐらいかっこつけてもいいだろ。一護と一緒にいるせいで女の子寄り付かないし」 「それは俺のせいじゃねぇ」 「うるさいよ。卵焼き頂きっ」 くだらないことで軽く討論しながら、慧斗は一護の卵焼きを強奪する。 何しやがる、と一護は怒るけれど、慧斗が遊子の卵焼きを気に入っているが故の行動だと知っているから、しつこくは言わない。 奪った卵焼きを口に含み、幸せそうに顔を綻ばせる。幸せオーラ全開だ。 何せ、本当に幸せそうに笑うものだから、咎めることもできない。その事を遊子に話した日から、毎日卵焼きが入っている。 「本当、遊子の卵焼きはおいしいなぁ…。僕、今なら死んでも惜しくない」 「縁起でもないこと言うなよ」 「そうですわ!世の中にはまだまだ沢山おいしいものがあるのですから」 「いや、そういう問題でもないだろ」 クリームコロッケをつつきながら、一護はルキアの言葉につっこむ。 そんな細かいこと気にするなよ、とこちらはウインナーをつつきながら慧斗が言う。 そんな二人の様子に、ルキアは小さく微笑みを零した。 それにしても、とふいに慧斗が空を仰ぐ。 「いい天気だなぁ…」 |