ソファに座る俺の目の前に立って見下ろす恭弥。どこまで我が儘なんだコイツは。
小さく溜め息を吐き、まだ眠気の残る頭を揺り起こす。眠い時は眠るのが得策だというのに、全く。



「…何をしてほしいんだ」


「君が眠らない様な事」


「……」


「興奮すれば眼も覚めるんじゃない」



ス、と手が伸ばされて、それが掴んだのは俺の眼鏡。邪魔だと一言呟いて遠慮無しに空に放り投げ……壊れたらどうする。
カシャンとリノリウムの床に遠慮無く落ちた眼鏡に、相手は笑みを浮かべた。



「ねぇ、僕と遊ぼうよ」


「お前の遊びは疲れる…」


「君に拒否権は無いよ」


「我が儘。」




ソファに片膝を立て、無遠慮にネクタイを引っ張りそのまま恭弥は俺に口付けを落とした。
浅くも深くもないバードキスを数回繰り返した後、不機嫌そうに数センチ、顔を離す。
喋る度に相手の吐息を感じる、そんな距離。



「…眼くらい閉じなよ」


「何時まで恭弥が勝手に続けるのかと思ってな」


「………」



「仕方無いから、遊んでやる」




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