此処は檻。
鳥の命令一つで、誰も、何も許さない絶対領域。



鳥に許された、一人の兎を除いて。






【自己中心的絶対領域】











静かな、それでいて心地良い空気が部屋を満たしている。
俺はこの雰囲気が好きで学校に居る時はよく此処に来る様になっていた。
(共に居るのは同じ空気を吸っても息苦しくない存在)
手に持つ本に栞を挟んでぱたんと閉じ、机に向かって真面目に書類処理に取り組んでいる恭弥を見る。…積まれている紙の束を見る限り、まだまだ時間はかかりそうだ。



「恭弥、」


「何。」


「寝る」



一言。そう言ってソファに体重を預ける。眼鏡はそのままに、静かに瞼を伏せ腕を組んで寝る体勢に入った。



「………」



しんと静まりかえる部屋、聞こえるのは紙を捲る音ただ一つ。
俺は心地良い眠気に誘われ、そのまま眠りに…



「ねぇ。」



就けなかった。
いつの間にか書類とペンを放り投げ、真っ直ぐな瞳を此方に向けて。その視線の強さに一度閉じた瞼を押し上げる。



「飽きた。僕に構いなよ」


「(…餓鬼か。)書類はまだあるんだろう?」


「だから、飽きたって言ってる。」




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