「分かってんなら言わせないでよね」


「偉そうに言うな」


踵を持って少し動かす。


「痛いか?」


「少し」


「むちゃくちゃ痛いんだな。
じゃこっち」




逆方向に曲げてみる。
今度はさすがに喉の奥で呻いた。



「重症だな。言うとおり骨は折れてみたいだけど」




救急箱から湿布を追加する。
患部に貼り付けようとしたとき、当人が遮った。




「早く治したいんだけど」


「だから、今湿布を」



「キスしてよ、そしたら早く治る」



足を差し出して平然と言った風紀委員に俺は一瞬言葉を失った。



「…エロガキめ」



苦々しげに吐き捨てる。
雲雀はそんな言葉聞いちゃいない。



「してくれるの、くれないの?」



「はいはい、了解しましたよ、女王様」




俺は足首を持ち、唇を寄せる。
僅かに熱を持った患部に丹念に唇を這わせる。


敏感になっているのか、唇が這うたびにぴくりと動いた。




「はい、終わり」




さっさと顔を上げると、不満そうな顔と目が合った。
湿布を改めて取り出して足首に貼り付けながら、その顔に反論する。



「なんだよ、望み通りやったろが」


「短い」


「贅沢いうな」


「じゃ、いいよ。勝手に貰うから」



雲雀は湿布を張り終えた俺に顔を近付けてきて、唇を半ば強引に重ねてきた。




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