雲雀の不可解な行動に(まあいつもだけど)俺は眉を吊り上げる。



「おう、俺の機嫌は既にこれ以上ないってくらい最低だ!
だから安心して脱ぎやがれ!」



最後まで渋る雲雀のズボンに俺の手がかかる。
少し抵抗したようだけど、不自然に止めた。



てか。




「なんじゃこりゃあ!」


「骨は折れてないみたいだけど、歩くたびに痛いんだよね」



何故か開き直って赤黒く変色している足首を曝す。
もともと肌が白いから余計グロテスクに見えた。



「阿呆か!なんで一番に言わないかな、そして病院行けよお前!」


「面倒だよ」



その一言に俺はがっくりと脱力して救急セットに手を出す。


包帯と絆創膏とガーゼと消毒液と綿。




「それじゃあ、荒療治になるけど、我慢しろよ、風紀委員」



何気なく逃げようとする雲雀をがっちりホールドして全身の傷に消毒液をぶっかけた。


比喩じゃなく、本当にかけた方が速くて的確なんじゃないかと思うくらい傷が多い。


そしてそんな状態でも平然としてられるコイツの神経が分からん。


腕の裂傷にいきおいよく絆創膏をはっつける。
雲雀は眉を潜めた。



「痛いよ、玲」


「ならそれなりの顔してみせやがれ」




ほとんど毎日どっかに傷作って俺のところにくる雲雀のおかげで、俺は大抵の傷の応急処置ならできるようになってしまっていた。


まあ、骨折とか、深い刺し傷とかだと、病院に叩き込むくらいしかできないけど。



「お前もうちょっと自分の体大事にしろよ」



それでいつも心配して寿命減らしてる俺の身にもなってくれ。




「心配してくれてるんだ?」


「あーもーそうだよ、こんちくしょう。だから自重しろ」




一番酷い足首の傷を診るために足首を持ち上げる。
雲雀の表情がぴくりと動いた。




「ん、何?」


「…いや」


「いや、じゃねえよ、痛いんだろうが」




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