僕がこの世界の終わりを探すと決めてから、またいくらかの時が過ぎた。
僕という存在がこの世界に生まれてから、どれほどの時が流れただろう。今では考えるのも面倒だ。
そんな事が判ったところで、何も変わりはしないのだから。ただ、僕の精神状態に影響があるだけ。
少しでも早く、あの少年の、あの子の元へ…
失われた(というよりは閉じ込められた)記憶が、あの子のことを切望する。
余計なことは考えない。感じない。意味など無いのだから。
僕はただ、あの子の涙を止めたい。泣かないでほしい。笑っていてほしい。
僕は――俺は、あの子の笑顔が好きだから。


――兄さん


――兄さん、起きてください


――静かにただ眠るなんて、貴方らしくもない


――だから、兄さん。早く起きてください


ああ、全く。お前は時々恐ろしく辛辣になるな。
そう言うなよ。今すぐ起きるからさ…だから、泣くなよ。


「おはよう」













始まりの世界



(もう夕方ですよ)
(そう言って、あの子は泣きそうに笑った)