あの時から、暗闇の世界でありながら時間感覚が朧気に解るようになっていた。
けれどあくまで朧気だから、本来の24時間を感じているかは定かではない。まあ、時の経過すら判らなかった頃に比べれば、今の方が良い状況であることには変わりない。
あの少年の声は、毎日聞こえてくる。
何て言っているのか、それはいつも聞き取ることは出来なかった。けれど、誰かの名を呼んでいることだけは、何故か判った。
そして、いつも同じ頃合いに聞こえなくなるのだ。
それが何を表しているのかは判らない。ただ一つ判ることは、声にならない程の少年の慟哭。
僕が少年に出来ることなど、何一つ無い。
少年の声が聞こえない時は、ただひたすらにこの暗闇の出口を探している。無いかもしれないけれど、在るかもしれない。
たとえほんの小さな可能性だったとしても、僕は諦めたくはない。だから僕は探し続けた。
この暗闇の終わりを。













終わりの世界



(“僕”はこの暗闇から始まった)
(始まったなら、必ず何処かに終わりがあるはずだから)