廻り巡る世界事情 | ナノ

好きだったんだ、


此方は1年半か2年程経ってます。前サイトで執筆していた作品です。駄文です文才皆無です、な作品なので「見てやんよ!」という方だけどうぞ。







君のことが、
好きだったんだ、
だからお願い。僕を捨てないで、離さないで。

***

君は笑ってた。いつもいつも、笑顔 で微笑んで。誰にでも優しかった。だけど、いつからか時折暗い顔をするようになっていく君の顔。そんな君が増えていってしまうのが怖かった。凄く心配で、だけど、声を掛けられなくて。暗くなるだけじゃなく、なんだか少しずつ弱っていくように感じる君を俺はただ傍から見てた。声を掛ければ、励ませばよかったのに。そんな俺に気付いていたのか、そうじゃないのか。君は俺に今度行きつけのカフェで話そうと、誘ってきた。嗚呼、これで君と話せるなと。 とてつもなく安心したんだ。だけど、それもつかの間のこと。それを知らない俺。早く、気付けばよかった。

当日、PM.2:00に待ち合わせ。いつもと変わりない日常風景が、何故か俺を安心させる。なんでだろう。空をぼんやりみつめていると、君が来た。柔らかく微笑む君に入るように促す。店内はいつも漂う珈琲の香り。ブワッと香りが広がった店内の空気が鼻を擽った。少し、ムズ痒い。だけど、俺はこの香りが大好きだ。

「美樹が誘うなんて珍しいね」
「うん。どうしても、俊に話したいことがあったから」
「そっか、何を?」

「あのね―――…」

嘘だ、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘 だ……!! なんで、君は笑ってるの。意味がわからないよ。だって、普通泣いちゃうんじゃないの?悲しいんじゃないの、苦しいんじゃないの。ねぇ、なんで。なんで、なんで。俺が泣きそうなのに。君はいつも通り微笑んでるんだ、柔らかくふわりと。

「ねぇ、泣かないで。俊が泣くと悲しいの」
「早く言ってくれれば。もっと…」
「いいの、俊と居られるだけで、私は満たされるから」
「…っ」

神様お願いです。美樹を連れて逝かないで。俺から奪わないでください。まだ、美樹と一緒に居たいんです。美樹は、俺の大切な、初めて好きになった女の子なんです。

「だからね、残り1週間は俊と過ごしたかったの」
「…っ俺も美樹と過ごしたい…」

彼女はゆったりと微笑んだ。

これから、俺は君と1週間一緒に過ごす。君の最後の時間。タイムリミットは、1週間後の夜明け。そし たら、君とはこの世界で永遠にさようならだ。

この世界は、残酷だ。

それから、俺と君は時を過ごした。いつもと変わらず時間が進んでいく世界に、ただただ顔を歪めて笑っているしかない俺。俺がこんなに苦しければ、当本人の君はどうなんだろう。ゆったりと優しく笑うその背景 には、どんな色が潜んでる?黒い塊が不吉を表すように歪んで廻っているのだろうか。君の感情が見えない。君の笑顔を剥がした裏がわからない。

1日目は、遊園地だった。周りの恋人達のように手を繋いで笑い合って。朝から夕方まで乗り物をとにかく乗り回した。君のすきなものを全部。何度も何度も。繰り返す。昼は、近くの売店で何かを買って。夜は、昔話をして盛り上がった。2日目、3日目、4日目、5日目――――。過ごす場所も何もかも違った。けれど、気持ちはいまだ現状を把握できず追いつけず。後悔の念と悲しみが増幅してゆくばかり。ゆっくりと、君との永久の別れの時間が迫ってくることを恐れた。震えそうになる体を、抱きしめ蹲る。死なないでほしい、と叶わぬ夢を抱きながら。そして、残り2日となった6日目。今日は君の顔色がすこぶる悪い。息遣 いも荒く、苦しそうに胸の辺りをぎゅっと掴んでいる。なんとなく、君の病気名がこれまでの様子からわかってきた。もしかしたら、彼女は心臓の病気なのではないかと。もう、治せないほどの所まで来ている のではないかと。…もう治せないのだろうと。多分、末期なんだね。もう手遅れなんだね。

今日は無理だ、やめよう。そう言う と彼女は今にも泣き出しそうな表情で、ただひたすら首を横に振りながら嫌だ、と繰り返す。一日たりとも無駄にはしたくない。そう言いながら。俺だってそうしたい、けれどできない理由がある。俺は、できるだけ長くずっと君と居たいから。お願い無理しないで。君は、一筋涙した。なら、一緒に居るだけでいいから居させて、とか細い声で君は悲鳴をあげる。多少躊躇ったが、俺 も一緒に居たいのは、かわりない。その代わり、全部俺がやるから大人しくしておいてほしいと伝えると、不満の声を漏らしながらも渋々承諾してくれた。

To be continue


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