廻り巡る世界事情 | ナノ

月夜の水音


此方は前サイトで執筆していた作品。1年半か2年程経ってます。駄文です文才皆無です、な作品なので「それでも見てやんよ!」な方だけどうぞ。







深夜2時。浜辺を歩く自分の目の前に映るのは、静寂漂う波音が微かに聞こえる海、そこに映る闇夜を照らす月。

昼間の世界も、夜の世界も。何時なんどきでも、この世界が大嫌いだ。いつもの情景を思い出しながら思う。欲望、幻想、背徳、狂気、憂い、暗 然、…感情を赴くままに表す人間。その感情が、ぐるぐると混ざり合っている。醜い人間達が織り成す世界は、自分には理解不能だ。こんなにも汚れた 空気を吸うだけで、胸焼けしそうだ。身体が痛くなる。何故、人間はこんなにも囚われているのだろう。法律だとか、ルールだ とか、社会の常識だとか。それは、ただ自分がこの世界から切り離されて、もとからいなかった人間という存在の場所に移されて、上書きされていくのを恐れているからか。なんで、人間は自由じゃないんだ。きっと、皆が言う自由は、堅苦しく縛られた鎖の中の世界での自由だ。縛る鎖を解き放った自由は、今何処にも存在しない。そうなる理由も、人間が囚われているから。

これは、自分の考えだけれど。人間の考えは誰の考えが間違ってるとか、そんなの本当は存在しない筈。きっと、論理とか正論上だけの話。ならば、自分のこの考えもあながち間違っていないはず。だけど、この 考えは拒否されるんだ。この子はどうしたんだろう、異常じゃないか。人のことを勝手に肯否定する権利なんて何処にもないのに。

こんなぐちゃぐちゃな汚い世界、大嫌いだ。

だから、こんな考えを持ちながらも、たった一人の小さな妹の為にも、この世界の鎖に縛られている自分も大嫌いだ。早く、終らせたい。いっそのこと、この世界から逃避して、何処か違う所へ行きたい。

……少し顔を俯かせてぎゅっと身体を抱きしめて、もう一度目の前の景色に目を凝らす。

「嗚呼、でもこの景色は嫌いじゃないな」なんて。何もなく、ただいつものように音を奏でて動く海と、嫌い夜を照らす月。小さく儚くも輝く星々。今この時だけは、何も無い。本当に何も無い。少し、身体を休める。本当はわかっているんだ。心の奥底 では。自分がどうするべきなのか、全部。だけど、この世界を嫌っていることには変わりはない。だから―――、どうしても手を汚していきたくなかったんだ。

眩む視界の中で思う。

『―――これが、僕の世界』

***

砂利を踏んで帰る道のり。行きよりも、強くかみ締める。もう、二度と此処にくることはない、だからもう一度だけ振替って始 めて嫌いじゃないと思った景色を見た。

きっと、もう自分は泣いてない。






*****
こんな考えもあるんだぜ、みたいな。まあ、思想は自由ですからね!精神の自由万歳!


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