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「いらっしゃーい桐!……と本城。」
「お邪魔しまーす。」

すぐにドアが開いて智樹が出てくる、ないと思うけど、誰かに見られたらと思ってすばやく部屋に入れてもらう。よく考えたら幼なじみとご飯を食べるだけなのに、こういうことしないといけないのってよくわからないしめんどくさい。…けどこういう学校だから仕方ないか。

智樹の部屋は一般学生用の2人部屋よりも少し広い。キッチンは使ってないみたいで綺麗だし食器もあんまりない。
調理器具もなんとなくない気がするけど今日のご飯どうするんだろ。

「智樹、ご飯どうすんの?」
「あぁ、デリバリー頼もうかと思ってるんだけど、桐はなに食べたい?」

デリバリー…そんなのあるのか。と思っていると智樹がこのフロアにいる役員と風紀だけが使えるサービスなんだと教えてくれた。

「首かしげてる桐かわいい。」

……それ、声に出さなくてよくない?

「メニューなにある?」
「はいこれ、ここで見て頼めるよ。」

智樹に渡されたタブレットには和洋中なんでも揃ったメニューが表示されていてこのタブレットで注文も出来るらしい。

何にしようかメニューを見ているとぶーっとバイブ音がした。どうやら燈夜のスマホらしくメッセージだかなんだかを確認している。

「……委員長に呼び出されたから行ってくる。2人で食べといてくれ。」
「え。」
「そう、いってらっしゃい。」

燈夜は風紀委員長からお呼び出しがあったようで部屋を出て行こうとする。風紀委員長からの呼び出しで今応じるってことはなんか委員会関係なんだろうけど。

変な顔をしていたのか燈夜が俺の頭にぽっと手を置く。

「同じ階の委員長の部屋にいる、帰りは迎えに来るから連絡しろ。」
「うん、また連絡する。」
「ん、じゃあな。」

燈夜はそのまま部屋を出ていく。それを見送ってメニュー選びを再開する。
お腹は空いたし、智樹とご飯を食べるのは確かにちょっとめんどくさいなと思っていたけど智樹とご飯を食べることが嫌だとかそういうことじゃなくて、ここに来るのを誰かに見られたりするのが嫌だしめんどくさいと思ってたわけで。それをクリア出来たいま、幼なじみと久しぶりにご飯を食べるだけだ。どうせなら美味しいものを食べたいし楽しみたい。

「智樹はなに食べんの?」
「俺?俺はなににしようかな…。桐は?もう決めた?」
「うーん……パスタ、あ、でもピザも食べたい。」
「じゃあどっちも頼んで分けようか。」
「智樹はそれでいいの。」
「うん、桐が食べたいものを俺も食べれるのはうれしいな。」

……この智樹の緩みきった表情は必要ないと思うけど。



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