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来週末に晩ご飯を食べる約束をすると智樹は空き教室を出ていった、それから少しするとチャイムが鳴ってケイドロ的なゲームの終わりが知らされた。

俺はこれで新歓が終わりだと思ってたけど実際はこのゲームが終わるだけで新歓が終わりというわけではないらしい。智樹が言ってたように晩ご飯はバイキング形式の立食パーティーみたいなものがあるみたいでパーティーはなるべく参加って感じらしい。それが終わって新歓が終わり。参加する人は昼ご飯を各自食べて18時ごろどっかに集合、俺は参加しないから知らないけど。

ゲームが終わったあと昼ご飯食べてしばらくした後夕方頃にまた集まるってめんどうだし、どうせなら昼ご飯で良いじゃん、夕方までなんであいてんのってことを燈夜に聞くと「パーティーの準備時間だろ。俺もよくわかんねえけどその間に粧し込んだりするやつもいるんだよ、気合い入ってるやつもいるだろ。」だって。なるほど、新歓ガチ勢のみなさんか。


そしてパーティーが始まったかという頃、俺は燈夜の隣で晩ご飯の手伝いをしている、なう。

燈夜が味つけをした鶏肉に片栗粉をつける。
ちなみに燈夜は参加しなくていいのか聞いたら午前と同じように見回りやらなんやらの仕事はないから自由らしい。

「お前、庶務と幼馴染だったんだな。」
「うん、俺庶務様と幼馴染だったみたい。」

燈夜が呆れたような顔をする。

「はぁ……どうりで食堂でお前のことやたら見てたわけだ。あんなに見られてたのに気づかなかったのかよ。」
「はっきり顔が見えてたわけじゃないからさあ、なんか目が合ってる気がするなとは思ったけど。」
「…目が合ってるのがわかるなら顔もわかりそうな気がするけどな。」
「うーん、言われてみればそうかもしれないけど…1年くらい会ってなかったし、会ってない間にでかくなってるし人気者の庶務様になってたし。あ、顔もイケメン度が増してた。そんなの遠くから見ただけじゃ気づかないし。」
「なんか、お前ってほんと……。」

馬鹿だな、とでも言わんばかりの顔をする燈夜にむっとして鶏肉に片栗粉をいっぱいいっぱいつけると肘をこつんと当てられた。…鶏肉に罪はない、やめよう。

「でもまあ…あの様子だと俺が食堂で睨まれたのにも納得した。」
「あーあれね…どうかしてるよねえ。」
「昔からあんな感じなのか。」
「うーん…そうだなあ……気づいたらあんな感じだったな…スキンシップは昔から激しめだったような気もするけど。」

いつからああなったんだっけなあ…なったっていうかなってたっていうか…うーん……やっぱり気づいたらなってたな。

「部屋に俺との写真がいっぱい飾ってあったのはびっくりしたなあ…。」
「……ストーカーか?」
「違う違う、ストーカーって言うと部屋の壁とかにびっちり写真とかって感じじゃん。そうじゃなくてちゃんと写真立てに入れていくつも飾ってあるんだけど、絶対俺がいるの。俺と智樹で写ってるのがほとんどだったけど、ちょっとだけ俺しか写ってないのも飾ってあった気がする。」
「ふーん…なんていうか、変なやつだな。」
「そうそう、変なやつなんだよ。」

智樹の話をしていると、鶏肉に片栗粉をつけ終わった。

「燈夜、全部粉ついた。」
「ん、じゃあ揚げる。」

燈夜が油の準備をし始める、油があったまるのを待って鶏肉を揚げ始める。いつもはリビングで待ってるけど今日はなんとなく隣で鶏肉を揚げるのをじっと見る。

じゅわー…ぱちぱちぱち、じゅわじゅわ

「…腹減ったか。」
「うん。」
「ほら。」
「あ。」

燈夜が小さくて早めに揚がった唐揚げを差し出してくる。ぱかっと口を開けると唐揚げが放り込まれる。

「あっ、!つ!!!………うあ、うま。」

揚がってすぐ、油を落としてすぐ口に放り込まれた唐揚げは当然のことながら熱い。
熱すぎて顔を顰めながらも食べた唐揚げから旨みが滲み出る。うまい。

その後揚がった唐揚げをテーブルについて燈夜と食べた。

今日は手伝いをしたからかいつもより美味しい気がした、たぶん。





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