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「でもそういうルールがあるならちゃんと参加しないとだめなんじゃないの?」
「そうかもしれないけど…俺たちだってなるべく捕まりたくはないわけだから、隠れるくらいいいでしょ。」

まあたしかに、制限時間中ずっと逃げ回ってたらいくら煌びやか5人組といえどその煌めきを失ってしまうことだろう。いや、イケメンは疲れてもイケメンだろうから煌びやか5人組は疲れても煌びやかなのか…?

まあいいや、俺だって初めての新歓で歓迎されてる側なのにサボっちゃってるし。
かといって智樹にずっとまともに付き合ってるのは疲れるから適当に流しとこ。

「燈夜、今日の晩ご飯なににする?」
「あ?あーまだ決めてない。」
「俺今日頑張ったから唐揚げがいいな。」
「お前なんもしてねえだろうが。」
「いいんだよ、唐揚げがいいんだよ。」
「…まあ、手伝うならなくはねえな。」
「それはめんどくさいな…うーん、んー………。」

手伝うってなにするんだろ、めんどくさいなあ、でも燈夜はいつもご飯作ってくれてるんだよなあ、唐揚げ食べたいなあ、とか、つい黙って考え込んでしまう。燈夜はしばらくこっちを見ていたけど俺が考え込んでることに気づいて、すと目線をそらした。俺の考えがまとまるのを待ってくれている。

「今日は唐揚げが良いから頑張る。」
「よし、じゃあ買い物して帰るか。」
「うんうん、そうしよ。」

昼ご飯もまだなのに晩ご飯が決まって浮かれた俺の視界に入ったのは少しむくれたような顔をした智樹。

「……なに?」
「なに?じゃないよ!2人っていっつも部屋で2人でご飯食べてんの?」
「うん、燈夜のご飯美味しい。」
「そっかあかわいいなあ桐。……違う、そうじゃなくて、桐と毎日部屋で一緒にご飯とかずるい、…っていうのも違わないけど違くて、今日の夜は新歓の続きで集まって晩ご飯食べるんだよ。」
「へー、楽しそう。」
「うんうんそうだね楽しそうだよね。だからさ、桐も来るよね?」



「……行かないかな。」
「…なんで?」
「うーん…騒がしいところで食べるのは落ち着かないし、今日は燈夜の唐揚げが食べたい。それに智樹は庶務様だし一緒には食べられないだろ。」
「一緒に食べられないのはわかってるけど…せめて遠くからでもご飯食べてる桐が見たかったんだよ…クラスも違うし食堂にもあんまり来ないし、なかなか気軽には会えないからさ。……桐がもぐもぐしてるの見たかったなあ…。」

智樹の言ってることは終始意味がわからないけど、そのまさにしょぼんとした顔になぜか俺の胸が痛くなる。やめろ、そんな顔をするな、申し訳なさがわいてくるだろうが。

なんというか、幼馴染なのに気軽に会えないのは俺も嫌だけど。

「…桐がご飯食べてる動画送ってくれない?」
「……それは気持ち悪いから、今度一緒にご飯食べよ。」
「っ!!!いいの!?」
「…めんどくさいのは嫌だから、絶対人に見られないように。」
「もちろん!いつ!いつにしようか!」
「うーん…あー…来週末とか?」
「いいね!たのしみだなあ!なかなか会えないぶん、いっぱい桐を堪能できるといいなあ…ねえ、やっぱり動画撮っていい?」
「……。」
「無言は肯定だよ。」
「嫌、やめろ。」





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