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「まだ30分しか経ってないの。」
体育館を出てまっすぐ下見した空き教室まで燈夜と来た。
普段からも人通りが少ないっぽいし、人は俺たち以外に誰も来ない。来られても困るけど。足音は遠くでぱたぱた聞こえたりもするけど、近くでは聞こえない。
「とうやーひまだねー。」
「お前が空き教室に籠るって言ったんだろうが。」
窓のすぐ下に燈夜としゃがみこんでいる。壁に凭れてぼーっとする、窓越しに外からも声が聞こえる。
でもこの空間はすごく静かでなんか不思議な気持ちになる。
「ねー燈夜。」
燈夜は特に返事をするわけでもない、でもこっちを向いてくれる。
「ゲームしよ。」
「ん。」
燈夜と一緒にしてるゲームアプリを起動する。暇あればゲーム、ってわけでもないけどそれなりにゲームは好き、現代っ子だし。
ちなみに燈夜がやってるのを見て始めた、いろいろ教えてもらいながらやるのがたのしい。
1人だとすぐに飽きるけど友達とやるのはたのしいなと思う。
***
「あ、やばい、まってしぬ。」
「は、それははやいだろ、もうちょっとがんばれって。」
協力プレイで遊び続けて1時間、ゲーム内通知でそれだけ時間が経ったことに気づく。
「あと1時間か。」
「あー…長えな。」
「これ2時間半もやる意味あんの?」
「俺はねえと思うけど、ガチでやってる奴らからしたらあるんじゃねえの。」
「ここでなんもしてないでいるから長く感じるのか。」
確かに楽しんでたら一瞬かもしれないけど、ぼーっと待つ2時間半って暇だよなあ。いや、燈夜といるの楽しいんだけどね。
「ねえとうやーひまー。」
「お前が空き教室に籠るっていうから付き合ってんだぞ、俺も暇だ。」
「だよねー。」
たったったっ……
遠くから足音が聞こえる、さっきまでと違ってだんだん大きくなってくる。てことは近づいてきてるってことじゃん。
「なんか足音するね。」
「するな。」
「こっち来てるよね?」
「来てる。」
「バレて誰か入ってきたらめんどくさいから静かにしよ。」
「あぁ。」
たったっ…………
音の大きさ的に1つか2つ隣の教室あたりで足音が止まる。
「あれ、止まった?」
ばたばたばた!
「え、なに、こわっ。」
ガラガラガラ…
突然大きくなる、しかもこっちに向かってきた足音にビビっていると足音とは反対に、控えめに教室の扉が開けられる。
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