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「お、あれだぜ生徒会。」
もぐもぐ口を動かしながらも篠塚くんが指したほうを見てみると生徒会の人たちの姿がちらりと見える。
人が多くて見にくいけど。
「へー…たしかにかっこいい。」
煌びやかな5人組だなあ……あ、鞠井先輩だ、そう言えば澤村先生が生徒会書記って言ったっけ。
鞠井先輩と黒髪のイケメンと王子様フェイスなイケメンと愛想のいいイケメンとなんだか真面目そうなイケメン。
いろんなイケメンがこの世にはいるんだなあ、と思いながらパスタを食べる。
「…顔ちゃんと見とけよ。」
「ん?」
「顔知ってたら知らずに近づいちゃったなんてこともないだろ。」
「なるほど、ちゃんと顔見た。しかも覚えた!」
「ん、えらいえらい。」
「こどもかよ。」
「まっすぐ帰れって言ったのに、言うこと聞けないのはこどもだろーが。」
頭を撫でられて子供扱いされたのが気に入らなくて反抗したら正論がとんできた、ぐうの音も出ない。くそ。
騒がしいほうをなんとなく見ると、煌びやか5人組が歩く前には道が出来ていた。まさにモーゼってやつか。騒がしいながらも寄ってたかるわけではないんだな、とかどうでもいいことを考えた。
そのまま煌びやか5人組は2階席に上がって行った。なんだあの2階席。
「なにあの2階席。」
「あーあそこか、役員席って呼ばれてる。生徒会役員とか、風紀委員長と副委員長とかが主に使ってるんだよ。一般の生徒が使えないってルールはないけど…暗黙の了解ってやつ。」
「ふーん…燈夜は使わないの?」
「俺は平委員だしああいうのは苦手。」
つまり偉い人だけが使うってことか。近づかないが吉。
危なかった、知らなかったらあそこ空いてるし静かそうじゃんって座りに行っちゃいそうだし。
「親衛隊にも睨まれるから近寄らないほうがいいぞ。」
「うん、そうだね。」
篠塚くんも親切に教えてくれた。
あれ、篠塚くんとごはん食べてるのはいいのか?まあいいか。
ん?
「……おい、あいつこっち見てねえか?」
「……なんかすごい目が合ってる気がする。」
「そらせ。」
「負けた気がするからいや。」
ぱっ
「あ、ちょっと。」
煌びやか5人組の真面目そうなイケメンとばっちり目が合っている、気がする。いや、合ってるけど気がすることにしたい。
燈夜には目をそらすように言われたけど自分でそらすのはいやで反抗してると目を手でぱっと覆われた。
きっとあんまり長い時間目が合ってると親衛隊に目をつけられるからだろうけど。
現に俺たちが座ってる周りの席の人たちが庶務様こっち見てない!?だとか、きゃっ庶務様と目合っちゃったぁ…とか言ってるし。
一瞬ならこっち見たなくらいだけど、目が合い続けてると誰と合ってるかもわかっちゃうだろうし、そうするときっと目をつけられちゃうんだーあーこわ。
でも自分からそらすのは負けた気がするからいやなのに。
てかあの人庶務なんだ。
「あれ庶務様なの?」
てか様ってなんだよ。
「様ってなんだよ…生徒会庶務の下野な。」
「ふーん、真面目そうなイケメンだなあ。」
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