爽やかの思うこと



「お、御子柴じゃん。」
「よお。」

挨拶した相手、御子柴眞凪。クラスメイトで俺の同室者。少し前まで名前と噂と顔をちらっとしか知らない同室者だったけど、部活でちょっと怪我して保健室に行ったらベッドで寝てて、噂ではとんでもない不良…何人も病院送りにしたとか聞いてたけど、親切に絆創膏貼ってくれたんだよな。いやー、肘に片手で絆創膏貼るとか難しいし助かった。

聞いてた噂とかイメージと違うな、って思って話しかけたら意外と普通に会話できたし。確かに見た目は不良っていうかなんていうか、って感じだけど、意外と優しいとこあるんだよな。

それからは寮の部屋でもときどき会ったら話すようになった、むしろ今まで会わなかったのが不思議だと思う。別に会う前と会った後とで生活リズムを変えたわけでもないし。

「あ、俺今風呂出たから入ってきたら?まだお湯あったかいと思うし。」
「あー…じゃあそうする。」

御子柴は飲み物を取りに部屋から出てきたっぽかったけど部屋に戻って風呂の準備をしに行った。

御子柴は少しすると部屋から出てきてそのまま風呂に向かった。

なんとなくテレビをつけてチャンネルを変えているとサッカーの中継をしているのを見つける。いちばん好きなのはやっぱバスケだけど、他のスポーツも見るのは好きだ。


がたっ

しばらくサッカー見ていると風呂場の扉が開いた音がする、シャワーの音はしないから御子柴が風呂から出たっぽい。

がちゃ

さっきの音から少し経って洗面所の扉が開く音がする。音がするとついついそっちを見てしまうもので、ぱっと視線をやると想像していたが想像していなかったものが目に映る。

想像していたのはもちろん風呂上がりの御子柴の姿、想像していなかったのはその格好。

御子柴は何故か下を穿いていない、いや、この言い方は良くない。正確には下着は穿いているがズボンを穿いていない。ちなみに上はTシャツを着ている。
御子柴は部屋ではゆるい服を着ていることが多いため、普段はわかりにくい小さくきゅっと締まった形の良い尻のラインがよく出ている。

いやでもなぜ、どうしてズボンを穿いていないんだ。

「……なに?見すぎだろ。」
「え、あ、いや、ズボンはどうしたんだよ。」
「あー…全部洗濯に出してた、洗面所に吊ってあるやつも乾いてなかったし、寝るだけだし部屋にいんのもお前だけだし別に良いかと思ったんだけど。」
「あ、うん、全然、いい。」
「あそ。」

つか寝るのはそのまま寝るのか?いや、ズボンないって言ってたしそのまま寝るか。

え、えろくね?

御子柴はゆるめのトップスをよく着ている。部屋着なのもあるが今来ているTシャツももちろん大きめサイズだ、首元もゆるく開いている。鎖骨が見えているのがなんとも言えない。
そのうえさっきも言ったようにズボンは穿いていない。きゅっと締まった尻に、すらっとした足。黒い下着が白い肌を際立たせている。あー…細いとは思ってたけど、腰も細いし、かと言ってガリガリってわけでもなくて靱やかで。
仮にその格好のまま寝るとする、さらに上にタオルケットでも羽織って寝るとする。きっとくちゃくちゃになったタオルケットからちら見えする足はえろいことこのうえない。

しかもまだ乾かしていないのか髪が濡れている。染めてるのに髪はいつもさらさらしてる、なんかケアしてんのかな。御子柴の髪はセットしてあったりしてなかったりだけど、セットしてないときとも違った少しぼさぼさになった髪がなんというか、濡れた大型犬みたいでわしゃわしゃしたくなる。え、ちょっとかわいいかもしれない。

仮にその格好のまま寝るとする、さらに上にタオルケットでも羽織って寝るとする。きっとくちゃくちゃになったタオルケットからちら見えする足はえろいことこのうえない。

「髪、乾かそうか。」

水を飲んでいた御子柴に無意識のうちに声をかけていた。声をかけてから気づく、俺は何を言っているんだ。

「は?いや、自分で乾かす。なんかお前……大丈夫か?」

御子柴にも何を言っているんだと言わんばかりの顔をされる、そのあと心配そうな表情。そうだよな、御子柴意外と優しいとこもあるもんな。大丈夫、俺は元気だし頭がおかしくなったわけでもない。と思う。

「あー、いや、うん、大丈夫。」
「ふーん…部活で疲れてんじゃねえの、早く休めよ。」
「あ、うん、ありがと。」

部屋で話すようになってから御子柴の表情が今までよりよくわかるようになった、きっと前より顔を見る機会が増えたからだろうけど。
冷たさを感じるなんとも興味のなさそうな受け答えかと思えばこっちを気遣ってくれる御子柴、かわいい。

1度かわいいとかえろいとか思い始めるとそういうふうにしか思えない…。御子柴はかわいいどころか見た目は不良チックで美人寄りのイケメンだ、それが…あぁ……。


……やっぱり俺、頭おかしくなったかもしれない。


***

(川上、全然そうは見えなかったけど、意外と疲れてんだな。)






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