何事にも無関心だとか、感情が無いだとか、よく言われた。
親に言われるがままに進学し、教師に勧められたからダアトに就職した。そして与えられた任務を着々と熟(こな)していくうちに、今の地位へと落ち着いた(今思えば、彼らの助言は全て私の預言に詠まれていたことを単に言っていただけなのかもしれない)。

だから、何か1つのことを、誰かを想うなど、私には考えられないことだった。

シンクさんが居なくなって1ヶ月が過ぎた。――いや、ダアトに居ないだけなら、長期任務などでよくあることだった。
シンクさんがお亡くなりになって、1ヶ月。

リグレットさん、ラルゴさん、アリエッタさんも、亡くなられてしまった。ロニール雪山にて雪崩に巻き込まれたそうだ。アッシュさんは六神将を抜け、世界を転々としているみたい。ディストさんは投獄中。
つまり師団長は全員ダアトから居なくなり、総長であるヴァンさんも、亡くなった。

原因は、詳しくは知らないけど。世界を揺るがす事件を起こそうとしたらしい。いわば罪人だ。キムラスカの公爵家の御子息や、マルクトのカーティス大佐達が中心となって倒したと聞いている。

総長も六神将も居なくなったと言うことは、神託の盾騎士団が機能しなくなったと言うこと。でもまぁ、ヴァンさんは亡くなる前に神託の盾を抜けており、いつの間にかに、半数の兵士も着いて行っていた。だから騎士団が機能していないのば、随分前からなんだけれど。

神託の盾が大変なことになっているけど、でも今それ以上に大変なことがある。預言が詠まれなくなった。
ダアトには預言を求めて訪れる人々で溢れ、時にはデモ活動まで起こり、残った神託の託騎士団も(元)預言士も、混乱を収めるのに四苦八苦している。


「シンクさん……」

預言の廃止を行った導師に直接聞けば、一体何が起きたのか、シンクさんはなぜ死ななければならなかったのか、分かるかもしれない。
でも私は、それを聞いてどうするのだろう。

前よりも遥かに増えた仕事に没頭して、何も考えないようにした。
だけどふとした時に、私は自分が今、何処にいるのかが分からなくなる。今まで私は何をしていたっけ。休みの日はどうしていたっけ。
別に、シンクさんと過ごしていたわけではない。彼と仕事以外の時間に一緒に居たことはない。
それなのに、シンクさんがダアトにも、この世界の何処にも居ないと言うだけで、私は自分が何をすればいいのか分からないのだ。

ああ、私は……好きだったのかもしれない。


シンクさんは、何をしようとしたのだろう。預言が詠まれなくなったことに関係しているとは思うけど。その為に彼は命を落としたの?総長と一緒に、一体何の仕事をしていたのだろう。

「私も……連れて行ってくださいよ」

私は貴方の部下じゃないですか。
何も知らせずに置いて行くだなんて、あんまりです。




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