★小話『神威があそびにきたよ!』

なんでか知らないけど神楽ちゃんのお兄さんが来た。

「帰れ!帰れヨー!」

神楽ちゃんは超嫌がっていた。

「久し振りだね。元気だった?」

神楽ちゃんのお兄さんはにこにこしながら銀さんに挨拶をした。
そんな何回も会ったわけじゃないのに、神楽ちゃんのお兄さんは初っぱなからすごく親しげなタメ口だった。

「はあ…。まあ、ふつうに…」

銀さんは明らかひいていて、

「帰れ!帰れヨー!」

神楽ちゃんは超嫌がっていた。

「勝手に死んだりしたらダメだよ?あんたは、俺の獲物なんだからね」

「はあ…お気遣い頂いて、どうも」

「帰れ!帰れヨー!」

神楽ちゃんのお兄さんは、ふふ、と笑うと腰掛けていたソファから立ち上がり、銀さんの隣に座った。
そして銀さんの肩を抱いて自分の方に引き寄せ、

「アレ?少し痩せたんじゃない?いやだなあ、俺の許可もなしに勝手な事しないでよ」

と、銀さんの肩を抱いている手でその辺の肉を揉むようにした。

「…いや、そうすかね…」

銀さんはひいている。

「帰れ!帰れヨー!」

明らかひいている銀さんに構わず、神楽ちゃんのお兄さんは、肩を抱いた手を銀さんの体の側面に沿わせて下ろしていった。
そして下ろしきったところにある大腿部をなで回した。

「痩せたよ。自分で気付かない?…気に食わないな。だって痩せたら旨そうじゃなくなるでしょ?あんたは、かじりつきたくなるような肉付きが魅力のひとつなんだからね」

「ははあ…、そんなもんですか」

「帰れ!帰れヨー!」

「これだもの。あんたは自分の魅力に気付いてないんだよ。こんないやらしい体をこれ見よがしに晒して歩いて、悪い虫がついたらどうするの?」

神楽ちゃんのお兄さんは、銀さんの大腿部にあった手を今度は銀さんの体の前面伝いに上に這わせていった。

「いや別に、そんな大層なもんでは…」

神楽ちゃんのお兄さんの手は、ひいている銀さんの胸にたどり着いた。そして、胸筋しかなくてガチガチな銀さんの胸を揉みしだいた。

「自分のいやらしさにも気付かない…そんなところも魅力的だよ」

そして銀さんの体に側面からより密着した。
空いた手が銀さんの耳たぶから首筋を指先で、つつ、と撫で下ろし、やがて胸に至る。上から下から這ってきた手が、胸で合流した。
神楽ちゃんのお兄さんは、銀さんのチャックの閉まった襟元を両手で掴むと

ばりいっ

と引き裂いた。
ちぎれとんだ、YKKって書いてあるチャックの先端が、ちゃりーんっていう音を立てて床に落ちた。

「遊んでるくせにキレイな色してるね」

神楽ちゃんのお兄さんは、露出した銀さんの胸板にくっついている乳首をそう評価すると、中指と親指で摘まんですりつぶすようにした。もう片方の手は、ガチガチの胸を揉みまくっていた。

「帰れ!帰れヨー!」

「…そうすか、恐縮です。まあ、別に遊んでないすけどね」

ひいている銀さんの乳首を一通り弄った神楽ちゃんのお兄さんは、

「感じてるね。勃ってきたよ」

と言って、銀さんの顔を見て、ふ、と笑った。

「感じてるというか…。たぶん普通にさぶいんだと思うんすけど…」

「素直じゃないね。でもすぐにそんな口はきけなくしてあげるよ」

そう言うなり神楽ちゃんのお兄さんは、銀さんの胸に顔を伏せたかと思うと、銀さんの乳首に口をつけ、音を立てて吸い上げた。
吸い上げた後、見せ付けるように舌を出して、キレイな色らしいそれを舐め回した。

「かわいい…。あんたの乳首、俺の舌に舐められてますます硬くなってきたよ。きもちいい?」

「うーん…。微妙っすね…」

銀さんはひいている。

「帰れ!帰れヨー!」

神楽ちゃんは超嫌がっている。

ひとしきり銀さんの乳首を舐め回した神楽ちゃんのお兄さんは、一旦顔を上げてから唾液でベトベトになった銀さんの胸をまじまじと観察した。

「ねえ、ここにピアスを入れてあげようか?あんたが俺のものだっていう印が欲しくない?」

乳首を指で弾きながらそう言った。

「…いや、痛そうなんで結構ですし、そもそもおたくのものじゃないですし俺…」

銀さんはひいている。

「帰れ!帰れヨー!」

神楽ちゃんは超嫌がっている。

「わからない人だね。あんたは俺のものなんだよ。あんたは俺の獲物。あんたの快楽、苦痛、喜び、悲しみ、生、死、全部が俺のものなんだよ」

「はあ…そうなんすか」

「嬉しい?」

「まあ…、ぶっちゃけ嬉しくはないすね」

「アハハ、そうだよ。そうやってもっと嫌がって。あんたが拒めば拒むほど、俺は征服する喜びを感じるからね」

「変わった性癖すね…」

「帰れ!帰れヨー!」

神楽ちゃんのお兄さんは、銀さんの横から立ち上がり、銀さんに向かい合った。そしてソファに座る銀さんの膝をぐいと割ると、その間に膝立ちになって、引き裂かれた服の残骸の間から、舐められてベトベトになった裸の胸を晒す銀さんを見上げた。

「ああ、いいよ…。すごく美味しそうだ。ねえ、これからどうしてほしい?その生意気な口で言ってご覧」

「どうもこうも…」

「ふふ。なんて反抗的な生き物なんだろう。ぞくぞくしちゃうよ。…ねえ、あんた、こんなつまらない所は捨てて俺の所においでよ。俺の船の船底にある牢獄に鎖で繋いで、一生飼い殺してあげるから」

「いや…、そういうのはちょっと困るんすけど…」

「そう?最高の苦痛と快楽を与えて上げられると思うんだけどな」

「いや…、一応自分、明日も仕事あるんで…」

「あらら。意外とマジメなんだね」

と、神楽ちゃんのお兄さんは言い、言うなり銀さんの開いた脚の間を鷲掴んだ。

「…でも、ここはマジメじゃないよね?」

「うーん、まあ、そこがマジメな男なんかいませんよね」

「帰れ!帰れヨー!」

「あんたの不真面目なここ…。なにも出なくなるまで絞りとって欲しい?それともきつく縛って出せないようにしてから可愛がって欲しい?」

「あー…、どっちもいまいち…」

「そう。わかった」

神楽ちゃんのお兄さんはそう言うと、銀さんの腰のベルトを外し、弛めたズボンの前から手を差し入れた。

「握り潰して欲しいんだ。だって、こんなもの、もう必要ないものね」

「いや、…それは困るんで。必要なんで…」

「そう?遠慮しなくてもいいのに」

「帰れ!帰れヨー!」

ひいている銀さん。
ひいている銀さんのズボンの中に手を突っ込んでいる神楽ちゃんのお兄さん。
超嫌がっている神楽ちゃん。

「ふふ。淫乱なここが恥ずかしい感じになってきたよ…」

神楽ちゃんのお兄さんは銀さんのズボンの中の手を動かしながら言った。

「あの…」

銀さんが相変わらずどんびいたまま言った。

「なんだい?」

「つまり、今日は何の用事でいらっしゃったんすかね…」

「やだなあ。わかってるくせに。言って欲しいのかい?ほんとに淫乱だね」

神楽ちゃんのお兄さんはにこにこしながら銀さんのズボンの中の手を動かしつつ、

「あんたのアナルに俺のペニスを挿入してあげに来たんだよ」

と答えた。

神楽ちゃんがまた、帰れ、と言った。

「孕むまで中に出してあげるからね」

「あの…俺は孕みません」

「馬鹿だなあ。比喩じゃないか」

「いや…。ほんとに俺、明日も仕事なんで…。あと、従業員の前でこういうのは、ちょっと…」

「なに言ってんの。いやらしいあんたをいっぱい見せてやりなよ」

「そういうわけにも…。今後の業務にも差し支えるんで…ホントに…」

神楽ちゃんのお兄さんは銀さんのズボンの中の手を止めて、銀さんをじっと見た。

「せっかく狂わてあげようと思ったのに」

「申し訳ないんすけど…」

「わかったよ。じゃあ、代わりにあんたのイキ顔見せてよ」

「え…」

「それがダメなら、有無を言わさずあんたのアナルに俺のペニスを挿入する。どっちか選んで」

「ええー…」




このような事情で、銀さんは神楽ちゃんのお兄さんにイキ顔を見せてあげる事になってしまい、仕方ないから見せてあげたのだった。
神楽ちゃんのお兄さんは、銀さんを情熱的にしゃぶりたおし、出たやつを飲んでまであげていて、なんか、愛を感じた。

そんで、

「俺以外の奴に触らせたら殺しちゃうぞ」

と言って、神楽ちゃんのお兄さんは帰っていったのだった。

「二度と来んな!!!」

神楽ちゃんは、最初から最後まで、超嫌がっていた。




「………」

「………」

「………」

服を引き裂かれ色々グチャグチャの銀さんと僕らは、お兄さんを見送った玄関先でしばらく立ち尽くしていた。

「銀さん…」

「何よ…」

「ああいう時には、はっきり断らないとダメですよ…」

「でも神楽の兄ちゃんだし…。神楽の身内にあんまキツイ事も言えねぇし…」

「…どうせ」

と、神楽ちゃんがポツリと言った。

「どうせ、私の兄ちゃんはイタい奴アル」

それからまた10秒くらい三人でそこに立ち尽くしていたけれど、やがて耐えきれなくなった神楽ちゃんが

「バカアァァァ!!」

と叫んで押し入れに閉じこもって、そんでそのまま出て来なくなったので、翌日の仕事は銀さんと僕だけで行ったのだった。





おわり

(2012/11/18 00:31)



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