☆リクエスト『攘夷の休日』

どん氏リクエスト
【白夜叉様が若きヅラ様や杉様やもっさんらと 兵士の休息みたいな感じで街に繰り出して遊ぶ みたいなそんなお話】



ゲーセンで、お杉がビーマニしてる横でもっさんが太鼓の達人をしていた。
もっさんは太鼓の達人が下手だった。全然曲と太鼓が合ってなかった。でももっさんはすごく楽しそうで、めっちゃノリノリでドンドンドンドン叩きまくった。しかも、ホワイトベリーの夏祭りとかを歌いながら叩きまくった。

「………」

もっさんの声と太鼓の音以外なんも聞こえない。
お杉はビーマニをやめた。
辺りを見回すと、銀時はUFOキャッチャーをガンガンに蹴っていた。穴に半分だけ落ちかけているチョッパーを落とそうとしていた。ヅラは、一人でプリクラをしていた。何回も何回もしていた。
お杉は、とりあえず銀時に近付いた。

「やめろ銀時。店員が見ている」

お杉が言うと銀時は

「わかった」

と言って、UFOキャッチャーを蹴るのをやめた。そして、こっちを見ている店員の方に歩いて行って、いきなりそいつを殴り

「見てねぇで鍵出せ。UFOキャッチャーの鍵出せコラ」

と言った。
お杉は、仲間だと思われたくなかったのでヅラが入っているプリクラの中に入った。

「銀時が暴れている。仲間だとバレたら俺たちも補導されるかもしれない。あいつはもうダメだ。逃げるぞ」

とお杉が言うと、ヅラは

「バカな。友を見捨てて逃げられるものか」

と言った。

「しかし、庇いようがない」

お杉が言うと、ヅラは

「果たしてそうかな?」

と言ってプリクラを出た。
銀時はボコッた店員の首の後ろを掴んでUFOキャッチャーの鍵を開けさせていた。その時

「ちょっと!ちょっとお客さん何してんの!」

向こうから、店長みたいな奴が来た。
ヅラは、店長みたいな奴に駆け寄った。

「ああ〜、すいません」

そう言いながら、途中でもっさんが持っていた太鼓のバチを奪っていた。

「あっ!わしの」

もっさんが抗議したがヅラは構わずもっさんからバチを取り上げ、そのバチで店長を殴った。店長は倒れて動かなくなった。

「かわいそうだが仕方がない。生き残るためには他者を省みていてはいかん。これが戦場の掟なのだ」

倒れた店長の前に立ちはだかるヅラは言った。

「わしの!わしのバチ返しとうせ!」

もっさんが半泣きでヅラにすがり付いた。
その横で銀時が開けさせたUFOキャッチャーの中を漁っている。

「青いチョッパーマンがねぇんだけど!てめぇ、どうなってんだ!」

「い、いや、今朝入れたからあるはずです…」

「あるはずですって、ねぇだろが!探せ!探せよ!」

銀時は店員に青いチョッパーマンを探させた。青いチョッパーマンはすぐあった。

「あ…ありました」

店員が青いチョッパーマンを銀時に差し出すと

「てめぇ!何俺の探しかたが悪いみたいな雰囲気醸し出してんだ!」

銀時はキレて、また店員を殴り、店員の手から青いチョッパーマンを引ったくろうとした。
その腕をヅラが掴んだ。

「銀時。いい加減にしろ」

「なんだよ」

ヅラはUFOキャッチャーの中から黄色いチョッパーマンを取ると

「これにしておけ」

と黄色いチョッパーマンを銀時に渡した。

「青いチョッパーマンは、俺が…」

と青いチョッパーマンを店員の手から取ろうとしたヅラを銀時が張り倒した。
張り倒されたヅラは銀時を張り倒しかえした。

「高杉。わしのバチが取られてしもうた」

もっさんがお杉に言った。

「……ビーマニにしろ。ビーマニならバチは要らねぇ」

「そうか。高杉は頭がええのう!」

お杉はビーマニが得意だった。
他の3人は全くビーマニをやらないので理解してもらえなかったが、お杉はひそかに自慢だった。

「ビーマニは、太鼓より少し難しいかもしれんがな…」

お杉は言い、もっさんとビーマニを始めた。
もっさんはビーマニを全くやった事がなかった。そして、太鼓の達人の様子を見る限り、音ゲーに関してはアレなのだと思えた。
なのに、もっさんはビーマニが超うまかった。

「………」

しかも、お杉がミスった時、なんでミスったかわかんなくてバグだって言ったら

「いやぁ、おまん、今のは8回叩くとこを9回叩いとったき、それじゃ」

とか言った。
あっちの方では

「俺は青いチョッパーマンを刀のとこにつけて、敵が可愛いって思った隙に斬るんだ!黄色はお前がつけて、カレー色じゃんとか笑われろ!」

「なんと浅薄な!俺は青いチョッパーマンを胸当てのとこに入れて、ギスギスしがちな軍議の際の一服の清涼剤にするのだ!黄色などという警戒色で皆が和むものか!」

とか銀時とヅラが言い合っていた。

「高杉、おまんはトランスとかアップテンポながより、R&Bみたいなメロディアスな方が向いとるがじゃ」

ともっさんが、お杉のミスをフォローした。
お杉は、すごく傷付いた。


その後カラオケに行った。
銀時とヅラは口をきかなかった。
もっさんは全然なんも気にしてなかったが、お杉の方があんまりしゃべりたくなかった。
だからカラオケの席は、入り口からヅラ、お杉、銀時、もっさんの順で座った。

「高杉、何を入れた」

ヅラがお杉に聞いた。

「ルナシーだ」

お杉が答えるとヅラは

「ルナシーか。…共に歌わぬか」

と言った。別に構わなかったので、お杉はルナシーをヅラと一緒に歌った。
もっさんはルナシーを全然知らなかったが、知らないくせにノリノリで外れまくった手拍子した。銀時は『へー。これがEND OF SORROW。サビ以外初めて聞いた』とか言った。

「高杉。次はなにを入れた」

またヅラが聞いてきた。

「グレイだ」

「グレイか。…共に歌わぬか」

お杉はまたヅラと一緒に歌った。
グレイを聞いたことのないもっさんが何がそんなに楽しいのかノリノリで外れた手拍子をして、銀時は『へー。HOWEVERの2題目の歌詞ってこんなんなんだー。初めて聞いた』と言った。

「高杉。次はなにを入れた」

「…ラクリマクリスティだ」

「ラクリマクリスティか。…共に歌わぬか」

「………」

お杉は一人で歌わしてもらえなかった。お杉が歌うと必ずヅラも歌った。それなのにヅラは自分の歌も入れてて、『つぐない』とか『ひとり上手』とか『難破船』とか、すごく趣味的な歌を歌いまくった。

「………」

お杉は、次は黒夢を入れた。
ヅラは黒夢には疎いのか、今度は共に…、とは言わなかった。
ようやく一人で、とマイクを握ったら、マイクがキーンいい出した。
歌えないほどではなかったが、曲中5回くらいキーンいった。
もっさんはトイレに行っていなかった。銀時は『黒夢聞いたことない』と言って携帯をいじっていた。
ヅラは

「なんだ。やはり俺が共に歌わぬとダメなようだな」

と言った。
お杉はヅラをマイクで殴った。マイクはキーンっていった。
殴られたヅラはゆらりと立ち上がり、

「高杉。俺は、お前が嫌いだ」

と言った。
やっぱりか!

「すいませーん。マイクの調子悪いんですけどー」

銀時は電話で店員を呼んでいた。

「もう帰る!」

お杉はマイクを投げ捨て個室を出た。


トイレの前でもっさんに会った。

「どうしたんじゃ」

「…帰る」

「なんでじゃ」

「………」

帰ろうとするお杉をもっさんが押し留めた。

「離せ」

「まあまあ」

「離せっていってんだ」

「まあまあまあまあ」

お杉はもっさんに引きずられるように個室に戻った。
個室では

「てめぇにチョッパーマンの何がわかる!」

「貴様こそ、チョッパーマンのことグッズで知ったろう!俺は総集編の麦わら劇場の時から知っている!」

とかいって銀時とヅラが喧嘩になっていた。

「まあまあ。おまんらも仲良くせえ。せっかくの休日じゃなかか」

と、もっさんが仲裁に入ったら

「うるせぇ!この陰毛頭が!」

頭に血が上った銀時がもっさんを殴った。
もっさんは

「…銀時が、…殴ったあ」

と言って、床に女の子座りになって泣いた。そして

「…わし、帰る…」

と呟いた。
3人の血相が変わった。
もっさんがというか、もっさんが持っているアメリカンエキスプレスのカードが帰ったら、全員が帰りたくても帰れなくなる。

「ま、待て坂本」

「そ、そうだ待て。ホラ、銀時も謝っている」

「い、陰毛頭とか言ってごめんネ。よく考えたら俺も陰毛なのにね。しかもおじいちゃんの陰毛なのにね」

「わしは、」

と、もっさんが言った。

「せっかくの休日じゃき、楽しく過ごしたかったがじゃ…。わしらは明日にでも死ぬかもわからん身の上じゃき、せめて休みの日はなんもかも忘れて楽しく過ごしたかったがじゃ…」

「………」

女の子座りのもっさんを囲んで立った全員が項垂れた。
明日にでも死ぬかもしれない。
それなのに、チョッパーマンとかお前が嫌いとか。
俺たちはなんて馬鹿なんだ。

「そうだな…、俺たちは愚かだった。すまぬ坂本。貴様のお陰で目が覚めた」

項垂れていた頭を上げたヅラが天井を仰いで言った。

「まだ遅くない。やり直そうではないか」

「…ヅラの言う通りだ。俺たちがこんなことでは、この国に夜明けは来ねぇ」
お杉が言って、もっさんにマイクを渡した。

「高杉…」

「坂本。仕切り直しだ。てめぇはまだ歌ってねぇ」

「じゃが、わしは歌にちっくと自信がのうて…」

もっさんは恥ずかしそうに俯いた。

「ならば、高杉に共に歌ってもらえばよかろう。音楽に心得のある高杉のリードがあれば安心して歌えるというものだ」

「…!ヅラ、てめぇ…」

ヅラの思わぬ発言にお杉はヅラを見た。ヅラはふっと笑って親指を立てた。


「そんで、何歌うの」

銀時がタッチパネル式のリモコンを構えてもっさんに尋ねた。

「洋楽でもええか」

ともっさんは言った。

「いままで勇気が出んで歌えんかったが…高杉が一緒に歌ってくれるちゅうなら…」

「ああ。俺も完璧とはいかねーが、メジャーどころは押さえているつもりだ。フォローくらいは出来ると思う」

「すまんの、高杉」

「なに…、構わねぇさ。好きなの歌えよ」

もっさんは『エアロスミスのアルマゲドンのやつ』を歌いたい、と言った。

「ああ、あの『ドワナクローズマイアー』ってやつね。あれなんていう歌?『ドワナクローズマイアー』しかわかんねぇんだけど」

リモコンを構えた銀時が言うので、お杉は

「I DON'T WANT TO MISS A THING、だ」

と教えてやった。


もっさんとお杉は、I DON'T WANT TO MISS A THINGを歌った。
自信がないと言っていたもっさんは、超うまかった。
リズム、音程はもとより、英語の発音まで本物くさかった。高杉が軽く詰まったところをそれとなくバックコーラス的な感じにフォローしたりした。
銀時とヅラは、坂本すげえ、坂本すげえ、と言って盛り上がった。もっさんは、高杉が歌ってくれたから安心して実力以上に歌えただけじゃ、とか言った。


お杉は、すごく傷付いた。
傷付いたが、この『明日をも知れない俺たちだから今日くらいは笑っていようぜ的な流れ』の中では、不機嫌を表に出すことは出来なかった。
なんか、みんなが笑ってるから無理に笑った。こうして自分が我慢することで丸くおさまってんならいいかなと思ったし、もしこの気持ちを爆発させて、なんだよアイツ、とか思われたら嫌だったので我慢した。

お杉の休日はこんなふうに過ぎていった。




その日、布団に入ったお杉は、
あー…、
なんかぶっ壊してやりてぇわ
と思った。

お杉の黒い獣は、こうして少しずつ成長していったのだった。




おわり


【白夜叉様が 若きヅラ様や杉様やもっさんらと兵士の休息みたいな感じで街に繰り出して遊ぶみたいなそんなお話】

じゃなくて

杉様が 白夜叉様や若きヅラ様やもっさんらと兵士の休息みたいな感じで街に繰り出して遊ぶ
みたいな話になりました

すみません

(2012/10/08 16:30)





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